駄菓子屋通いとバーカウンター。

仕事で駄菓子屋を探訪した。懐かしいパッケージがある一方で、様々な進化も見られて楽しい時間を過ごした。大人になってすっかり甘いものがダメになっている僕だが、そこはブツブツ言わずにガキの頃の自分とのシンクロだけを念頭に食った。おそらくガキの頃に食ったナンバーワンが写真のこいつか、同じメーカーから出ている『あんずボー』だろう。「ミナツネ のおいしい」というキャッチコピーは、当時から食うたびに「そのとーり」と納得していた僕だ。

 

自分の中での位置付けとしては、おそらく『みつあんず』のほうが上位だった。が、あっという間に終わってしまう高級駄菓子だった。『あんずボー』は冷凍庫で固まった状態なので、なんとなく食べ応えがありコスパが高い。少ない小遣いだからこそ、そんなことを深く考えてセレクトしていた。そのほかにも様々な駄菓子たちの誘惑にいつも身悶えしながら過ごした場所が駄菓子屋だった。

 

男の場所だ。僕は常々、男の人生において最初の社交場が駄菓子屋だと語っている。幼い頃にこの社交場を嗜む心が育ったせいで、俺たちは1人で過ごす居酒屋やバーのカウンターを愛するようになってしまったのだ。駄菓子屋は俺たちの時代から減少を続けていったから、昨今の若者にとってバーは幼児体験がない分だけ価値が低くなっているのだと睨んでいる。事実、僕が知るトラディショナルなバーのマスターたちは、近年は若者が背伸びしないと口を揃える。

 

荒川区の駄菓子屋は極めて不衛生だった。これによって俺たちは菌に強い男へと鍛えられた。さらに、理不尽なおばちゃんとの駆け引きを知り、他の学年の男たちとのコミュニケーションから仁義を知ることができた。小さな店内で学んだのは男の人生そのものだ。やがて成長とともにゲームセンター、喫茶店とその社交場をステップアップさせ、大人になった俺たちは演歌の流れる安居酒屋やバーに居場所を求めるように成長したのだ。そんな男の嗜みを愛して生きているのは、あんずの誘惑からだと思うと可笑しくてしょうがない。

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