「いのちの電話」相談員さんのメンタルは…の巻

7月に俳優の三浦春馬さんが亡くなって、早いもので2ヶ月以上が経ちました。そのあまりにも突然の死のショックからいまだに立ち直れない人も多いようですが、追い打ちをかけるように、9月に入ってから女優の芦名 星さん、竹内結子さんの急逝が伝えられ、多くの人に悲しみや衝撃を与えています。

命って一体誰のものなんだろう…なんて考えるつもりはないし、自分から望んで死を選んでしまった人の行動をいけないことであると思うわけでもありませんし、もちろんすすめるわけでもありません。ただ、それに伴う現実として気になったことがひとつあって、そういった著名人の自殺と思われる急死の報道の後に、必ずといっていいほど「いのちの電話」の連絡先が載っているのです。

「いのちの電話」は、日本では1971年にボランティア相談員によって東京で電話相談が開始され、60年近い歴史があるようです。1977年には全国にわずか5つだったセンターが、2019年には連盟加盟センターは50センターとなり、約6,100名の相談員が年間63万件を超える数の相談に対応しているそうです。単純に計算すると、一人当たり1年間で100件以上の相談を受けていることになります。これって少し負担が大きすぎはしないでしょうか? 命に関わる相談事は1件と数えられても、実際の対応は何日間にもわたることもあるだろうし、1日で簡単に解決できるようなことではないと想像できるのですが、そんな相談を年間に100件も受けているとしたら、相談員の方のメンタルこそ大丈夫なのかと心配になってしまいます。

もし自分が、仮に相談員の立場になったことを想像すると、ちょっと苦しくなります。「それでも助けられなかったら…」とか、「あの相談してきた人はどうしているだろうか…」と永遠に引きずってしまう気もします。そして、勇気を出して電話をしてきた人に対しても、100%防ぐことができない現実もあります。また、残念なことに、相談しても寄り添ってもらうどころか「上から目線」的な対応で、かえって傷ついたという話もネットでは見受けられます。毎日毎日、自殺をしたいと考えている人に対応していると、相談員の方の心も徐々に擦り減っていくと考えるのが普通でしょう。結局、こういうことは悪循環を生んでしまうのではないかと思うと、「いのちの電話」をひたすらすすめる報道には、少し違和感を感じてしまいます。

「誰にも相談できないから」こその「いのちの電話」ですが、本当なら身近な誰かに相談できるような社会になってほしいと思うのです。これだけ、スマホやPCが普及して、SNSなどを通じて、いやというほどコミュニケーションがあふれかえっているのに、結局それらのツールは人を結びつける役割よりも、時として誹謗中傷などのネガティブな方面に大きく力を発揮してしまっているようにも見えます。私は個人的にはフェイスブックもツイッターもインスタグラムも一切しませんが、何ひとつ不自由はないです。心無い言葉に傷つけられることも、腹立たしく思うこともありません。家族や友人、「どうしてるかな?」と思った時は電話をして声を聴くのがいちばん! もちろん会うのがいちばんですが、遠いところに住んでいる場合、そうそういつも会えるわけではないですから、電話で話すのが現状としてはいちばんのコミュニケーションになっています。

誰もが誰かの「いのちの電話」になれるはず

もし、悩みがあったりつらいことがあったら、あえて相談まではしなくてもいいから、身近な人の「声」を聴くだけでも気持ちが少し穏やかになるような気がします。「お互いに知っている人」というのは、「知らない誰か」の声よりも、それだけでほっとするはずです。仮に自分に悩みがなかったとしても、「どうしてるかな?」と気になる友人や知人(特に一人暮らしの)がいたらたまには電話してみませんか? 一人ひとりが誰かを思いやれば、「つながり」は自然に広がるのではないでしょうか。いのちの電話は、連盟に登録されている全国50ヶ所のセンターだけではなく、本当はもっと身近にあるはずなんです。

新型コロナウイルスの感染拡大で、病床を増やすことを優先し、医療従事者の確保は後回しにして招いた悲惨な医療現場の現状があります。今も過酷な勤務を強いられて疲弊している医療従事者の方がたくさんいます。「いのちの電話」のかかってくる電話に対して、きちんと対応できる人員体制なのかどうかはわかりませんが、もし今、相談員数が6,100名のままで、「一人で抱えず『いのちの電話』へ相談しよう」ということが爆発的に広がったら、相談する方にとっても、される方にとってもあまり芳しくない状況に陥りそうな気がします。誰もが誰かの「いのちの電話」になってあげられる、大切な人を守れる可能性をもっていると思います。誰かを救うために誰かを疲弊させてしまっては意味がないから、理想論かもしれませんが、みんなが、誰かの「いのちの電話」になれたらいいのにと思いませんか?

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