「左きき」がモテモテに? 昭和48年・第24回『NHK紅白歌合戦』と共に当時のヒット曲を振り返る!

国民的歌番組、「NHK紅白歌合戦」(以下、紅白)は今年令和元年の大晦日の70回目という節目を迎えます。近年ではかつてのような視聴率を獲得できず、人気が低迷していると言われていますが、昭和40年男世代の幼少期~青年期は、ほとんどの国民がテレビにくぎづけになったほど! そんな紅白の出場リストから、その年のヒット曲や話題の歌手を振り返ってみましょう。第3回目は女性アイドルが続々初出場! 昭和48年・第24回大会です。

「左きき男子」の応援ソング?!

前年デビューの森 昌子、麻丘めぐみ、アグネス・チャン(紅組)、三善英史、郷ひろみ(白組)ら、レコード大賞新人賞を獲得した面々がそろって初出場しました。いわゆるアイドル系の歌手が軒並み初出場を果たし、演歌系のベテラン歌手が多かったこの時代に、新時代の扉を開くべくさらなる一石を投じることとなりました。なかでも、麻丘めぐみは5thシングル「わたしの彼は左きき」がチャート1位となる大ヒットで、天地真理をおびやかすほどの人気となり、俄然注目されました。右ききが圧倒的に多いなか、少数派である「左きき男子」にスポットをあてたこの曲のおかげで、左ききの男の子がモテたとかモテないとか…

そんななか、バカ売れした演歌がぴんからトリオの「女のみち」です。2年越しのロングラン大ヒットで、あの「およげ!たいやきくん」に続く歴代2位、約400万枚の売上を記録しました。メンバーの一人が脱退したために、この紅白にはぴんからトリオからぴんから兄弟となって初出場。時の流れに逆行するようなコテコテのド演歌が、日本人の演歌心を呼び覚ましたといえる快挙でしたね。その気になって歌真似をしたという昭和40年男世代も多かったのではないでしょうか(笑)

フォーク勢の活躍が続々と!

そしてこの年も、昨年に引き続き新たにフォーク系からの初出場が生まれました。紅組、「てんとう虫のサンバ」チェリッシュと白組、「学生街の喫茶店」ガロです。フォーク歌手はテレビにはあまり出ないと言われていた時代ですが、ちょっと暗い歌のイメージとは裏腹にテレビ出演には意外と積極的だったガロでした。一方の「てんとう虫のサンバ」は今なお結婚式の定番ソングとして歌い継がれている、ハッピーソングの代表曲です。えっちゃんの透き通るようなボーカルと、松崎くんのハーモニーが魅力的でした。そしてこの年注目されたフォークグループ、南こうせつとかぐや姫は、ヒット曲「神田川」の歌詞の「クレパス」を「クレヨン」に変更することを求められ、それを拒否、辞退という展開に。話題の「4畳半ソング」はこの年の紅白ではついに聴くことが叶いませんでした。

上記のかぐや姫に限らず、選考をめっぐては毎年物議をかもしますが、前年まで10年連続トリを務めていた、美空ひばりが身内の不祥事によって好感度が下がったという理由で落選したのは、長年の紅白ファンにとっては衝撃的な出来事でした。

そんななか、ポップス系の新勢力が大活躍。昨年に続き2回目の出場となった、ジュリーこと沢田研二は4月に発売された6thシングル「危険なふたり」を歌唱。ジュリーの代表曲ともいえるこの曲の大ヒットで、ソロ歌手としてのスタイルを確立しました。昨年「どうにもとまらない」で再出場を果たした山本リンダは「狙いうち」で3回目の出場。この曲は、甲子園の応援曲として、今なお演奏されている人気応援ソングです! 結婚式と甲子園、ビッグな定番ソングが2曲も登場した昭和48年でした。

※当時のレコードジャケットなどは、「昭和40年男」6月号増刊「俺たちの胸に刺さった昭和ソング」P10~11に掲載されていますので、あわせてご覧下さい。(「昭和40年男」編集部・まつざき)

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