稀勢の里はつらいよ 〜大編集後記番外編。

今年の大相撲カレンダーは使わず保存版にしよう(笑)

今朝の新聞や情報バラエティでは、昨日の引退会見を大きく報じていた。そこで今日は編集後記の番外編をお送りする。ほどに、僕は稀勢の里関を愛していた。

 

本当に久しぶりに日本人が横綱になった。と、喜んだのも束の間で昨日に至ったのはご周知のとおりだ。ケガとの闘いが続いた横綱だった。ファンの声援を背負い込み土俵に上り続けた姿は、常に男はつらいよ状態だった。僕らよりはるかに若い彼が、あれだけのつらい男を演じきったのはあっぱれである。もういい、ゆっくりと休んでくれ。

 

会見で、土俵人生で貫いてきた信念を問われて、絶対に逃げない気持ちだと答えたそうだ。言葉通りの相撲を貫いてきたからこそ言い切れる資格があり、言葉が重くてグッときた。天才ではないから努力しか無いんだと自らに言い聞かせ、そのたゆまぬ努力があるからこそ逃げない気持ちになり、愚直なまでに真っ直ぐにぶつかり続けた相撲人生となったのだ。愚痴らず、高ぶらず、寡黙を貫いた男だ。昨日もケガについてウダウダと語っていないし、今場所前もやるだけやったと語っての土俵だった。が、初日の相撲はまるで軽くて、優勝を決めた時の稀勢の里関とはまるで別人だった。それでも、2日目3日目と逃げることは無くぶつかっていく姿勢はまったく変わらなかった。全力で真っ直ぐに取り組んだ3日間は、僕の相撲史に残る男の姿だった。

 

大関と横綱はまったく異なるとも語っていた。人気もあったからその重圧はどれほど大きかったことだろう。昨日やっと、つらい男から解放された気持ちとはいかがなものだろうか。凡人には到底わからんが「一片の悔いもございません」と言い切った男のことだ、今日はきっと晴れやかで穏やかな心でいることだろう。本当にお疲れ様でした。今回の特集号をまるで地で行ったような男に感謝したい。

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