酪農兄貴・田中義剛~牧場は長年の夢~そして夢のその先へ!

田中義剛は昭和33年3月13日生まれの60歳、今年還暦を迎えたタレントであり酪農家、実業家だ。昭和40年男にとっては、80~90年代のシンガーソングライターとしてのイメージが強いかもしれないが、今現在は驚くべき転身を果たしている。最近はテレビにも出演していたりしたので、その活躍をご存じの人も多いかもしれないが、この成功までの道のりは決して平たんではなかったようだ。

「田中義剛の足し算経営革命-北海道発 大ヒットの法則! 」(ソニー・マガジンズ新書)2008/6/14発売

1980年代に北海道を拠点にシンガーソングライターとして活躍していた田中だが、東京に進出した後は「オールナイトニッポン」のパーソナリティを務めたり、バラエティ番組に出演したりと、いわゆるマルチタレントというイメージが強かった。そんな田中は、実は10代の頃から牧場を作るのが夢だったのだそうだ。16歳の時に旅をした北海道の地に魅せられ、高校を卒業後に生まれ故郷の八戸を離れ、北海道の大学に進学したという。とにかく自分で牧場を持つことを夢に描きながら、そのための勉強をするべく大学にいったのはいいが、「牧場経営には莫大な資金が要る」という現実に打ちのめされ、金がないことには牧場は作れないことを大学に入ってから気づかされるという、なんとも純朴な青年だったのだ。そしてその資金を稼ぐために、ダメもとで芸能界に飛び込んだのだそうだ。そう考えると、トレードマークのテンガロンハット、ウエスタン風のいでたちは、とにかく牧場を夢見る若者の証だったということに今さらながら納得だ。

そしてついに、36歳で念願の牧場を拓くこととなるわけだ。そう、誤解のないように、今一度説明すると、芸能界で儲かったから牧場を始めたのではなく、田中にとっては牧場を始めるための資金を稼ぐ手段がたまたま芸能界だったのだ。夢は芸能人になることではなく、あくまでも牧場経営! 芸能人として有名になったからといって、その志が揺らぐことはなかったのである。

「花畑牧場」と名づけられたその牧場は、たった1頭の牛から始まった。その後の経営は必ずしも順風満帆だったわけではなく、商品の返品などが相次ぎ、自己破産の危機もあったという。それでも田中は「おいしいものを食べることで皆が笑顔になれる」という理念のもと「しあわせを造る」という目標をあきらめなかった。自社牧場の商品を、タレントとしてメディアに出演する際にアピールするなどして、その認知度を上げていき、一時大ブームとなった生キャラメルは今も健在、現在では「花畑牧場の生キャラメル」といえば、北海道土産として定番ともいえるほどに成長している。出演するテレビ番組を使ったPR活動を疑問視されたり、商標登録をめぐってバッシングを受けたりすることもあったが、一時4億円とも言われた負債を抱えながらも経営を立て直したという事実はやはり驚くべきことではないだろうか。なにも違法なことをしたというわけではなく、それが「商売上手」ゆえの行動力なのだとしたら、そこは目をつぶってもいいのではないだろうかと思わなくもない。おそらく、今の昭和40年男くらいの年齢の時は、「生キャラメル」が大ブレイクして、さまざまな問題に直面し、立て直しに必至になっていた頃に重なるのではないだろうか。そう考えると、今仕事や家庭のことなどで大変な状況を抱えている人でも、まだまだ修正可能、浮上可能であると勇気づけらるというものだ。

「アジアにチーズを広めたい」という目標も叶える!

常に新しい商品の開発にも積極的に取り組んでいて、最近話題の「生モッツァレラ~ブラータ~」をはじめとするチーズ類には定評があり、どのチーズも品切れになるほどの人気だ。なんと、「ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」で1位に輝いたこともある「ラクレット」に至っては国産の90%のシェアを誇るという。しかも一緒に専用のオーブンまで売っているという気合いの入れようがすごい! そして、ついには海外にまで進出し、チーズを食べる習慣がなかったタイにチーズ工場を作り、チーズブームを巻き起こしているというのだから、もはや「アジアのチーズ王」だ。

お金がなくても、自分で耕せば牧場は作れると思って北海道に渡った青年は、さまざまな遠回りをしながらもついにはその夢を叶え、実業家としても大成功を収めた。一代で築き上げた「花畑牧場」をこれからさらに大きくしていくようなそんな予感がいっぱいだ。もしかしたらアジアだけでなく、今後はチーズの本場ヨーロッパへの進出もあるのでは?! 

還暦を迎えた田中を、ここまで支えてきたのは、10代の時から持ち続けていた「酪農愛」に違いない。商売の才能ももちろんだが、「好き」をまっすぐに続けることが何より大事なことだと感じさせてくれるようなサクセスストーリーと言えよう。そんな「酪農兄貴」のように、我々も7年後にはパワフルな還暦を迎えたいものである!

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