薬師丸ひろ子さんの瞳にゾクゾクしたあの日。

成人の日ですか。丸井で買った初めてのスーツを着て、式会場から繰り出した宴会の楽しかったこと。きれいな着物で着飾ったたくさんのオンナの子たちと深夜まで呑み続けたのは、今考えると後の人生にない貴重な1日だ。写真が1枚も残っていないのが残念でならない。と、そんなはるか遠くをながめている。

さてみなさん、最新号は手に入れていただけだろうか? 今回は『俺たちシティポップ世代』と題し、初の音楽特集に挑んだ意欲作。どんな評価となるのか不安と期待が入り混じっている。その不安を和らげてくれているのが、第2特集となる連載の『夢、あふれていた俺たちの時代』の充実ぶりだ。今回は、成人の日を遠くながめるのと同じように鮮明に思い起こされる中学校入学の年、昭和53年を取り上げている。

野性の証明この年に『野性の証明』が公開された。大量に流されたCMに登場したオンナの子の瞳に、強く惹かれた僕だった。なんちゅう魅力的な、エキゾチックな瞳なんだろうと震えたのだ。彼女が後に鈴鹿ひろみさんになろうとは、当時の自分に想像できるはずはない(笑)。それまで知っているどんなオンナの子とも違う輝きを感じながら「お父さん怖いよお」とのセリフを聞くたびにキュンキュンしていた僕だ。

そんな強い印象を残した『野性の証明』で監督を務めた佐藤純彌さんに、当時の貴重な話をうかがった。完成にいたるまでの紆余曲折を丁寧に話してくれて、角川春樹さんのエネルギッシュなエピソードにも感心させられた。それまでの映画の仕組みにとらわれることなく、作りたいものを自由に作ろうとしたその姿勢は、今だからこそ学ばなければならない姿勢かもしれない。そんなアクティブな彼だったからこそ、角川映画は次々に僕らの心を奪ったのである。特集のトリの位置づけで、最終の4ページに渡って掲載している。どうぞじっくりと読み込んでほしい。

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