『メリー・クリスマス・ショー』を覚えているか?

先日、このブログ発売が迫る奥田民生さんのニューアルバムについて紹介した。リリースの噂はもちろん聞いていたが、収録曲の演奏をすべて自身が行なったのは、恥ずかしながらここで知ったのだった。先行でリリースされたシングル『風は西から』もバッチリカッチョよく、するってえとコイツの演奏もすべて民生さんということをあらためて知り、思わずニヤついた僕だった。と、全然タイトルと関係ない書き出しで恐縮だが、すべての演奏を1人で収録というとあの日の興奮を思い出してしまう。昭和40年男ならば記憶にあるのではないだろうか? 伝説の音楽スペシャル番組『メリー・クリスマス・ショー』で披露した、チャーさんの『ジャンピング・ジャック・フラッシュ』だ。ギターとベースにドラム、そしてキーボードまでもこなすのはすべてチャーさんで、もちろんボーカルとコーラスもバッチリとキメて、6人のチャーさんが演奏するカッチョいい映像に歓喜したのだった。

桑田さん昭和61年と62年の2回だけの放送になってしまったのは、昭和63年は昭和天皇のお体の具合が悪くて自粛したのではないかとの記憶があるが、真相はちょっとわからない。ただおそらく、年に1度の大クリスマスパーティにしていこうという意欲にあふれていたはずだ。というのも、出演者全員で歌う『カム・トゥゲザー』のオーブニングや、トリ前の清志郎さんの『第九』、清志郎さんと桑田さんのバトルソングの悪ノリなどなど、たった2回ながら恒例のコーナーはエスカレートしながらおもしろくなっていった。2回目にして、恒例番組の基礎を築いた気がしてならなかったのだ。そしてなんといっても、ラストのクリスマスソングを出演者全員で歌うのが、それまでの悪ノリ効果もあって素晴らしい響きとなる。松任谷由実さん作詞、桑田さん作曲の『Kissin’ Christmas』で、ユーミンらしい冬の光景が浮かぶラブソングであり、桑田さんらしいメロディがしっとりと胸を打つ、日本を代表するクリスマスソングだ。これは去年発売されてビッグセールスとなった桑田さんのソロベストアルバム『I LOVE YOU -now & forever-』で、待望の音源化となって初リリースされた。このベストで初めてこの曲にふれた方も多いかもしれないが、伝説の番組を知っている昭和40年男にとってはまさしく待望と言うにふさわしく、僕もこのベストアルバムを買ったのはこの曲によるところが大きかった。

番組予算が相当つぎ込まれたとは、素人ながら容易に想像がついた。桑田さんの呼びかけによって集められたミュージシャンたちは、一癖も二癖もある連中ばかりで、しかも悪ノリをたっぷり注ぎ込みながら、アイデアあふれる作品を披露した。前述のチャーさんの演奏も、途中から米米クラブによる『星降る街角』にスイッチする。そのまま、両者と曲が入り乱れての演奏になり、エンディングを迎える凝った作りのミュージックビデオに仕上がっていて、アイデアがてんこ盛りで素晴らしい。コイツが放送された(第2回目)のと、民生さんがユニコーンでデビューした年が一緒なのだ。まさか因果関係はないとは思うが、もしかしたらいつかやったろうとのベースになったか!? 音楽をやっていた昭和40年男にとって、チャーさんは絶大なる存在だったからあり得ない話ではないと繋がってしまったのだ。そして現在だったら、民生さんこそがあんなハチャメチャな番組作りが出来るもっとも近い存在だ。などと連想させるほど、偉大なタメ年シンガーなんだなとあらためて思う。ひとまず、ニューアルバムの届くのを楽しみに待つことにする。

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