【S40News!】『怪奇大作戦』発売記念座談会が開催。

『怪奇大作戦』DVD発売記念座談会に出席した橋本洋二プロデューサー(中央)、桜井浩子(右端)ら。(撮影:足立謙二)

円谷プロ制作による傑作特撮ドラマ『怪奇大作戦』のDVDがこの秋、発売される。これを記念して、当時の制作スタッフ、出演キャストらによる記念座談会がこのほど行なわれた。

「怪奇大作戦」 (C)円谷プロ

『怪奇大作戦』は、ウルトラシリーズの円谷プロが、『ウルトラセブン』の後番組として制作、TBS系で昭和43年9月から半年間放送された、ミステリーとサスペンスが交錯する伝説的ドラマだ。世の中に突然発生する現実科学では解明不可能な怪事件を追う特捜チーム・SRIの活躍を描いたストーリーで、それまでのヒーローものと比べると華々しさこそ薄いが、円谷得意の特殊撮影技術を生かした当時としては奇抜な映像表現により、『ウルトラQ』に優るとも劣らぬ毒々しさや科学の知識を使って謎を解いていく痛快さが、大人から少年まで幅広い層に受け入れられた。我々昭和40年男は再放送で体験した世代だが、第23話『呪いの壺』での寺が炎上する特撮シーンや、冷静沈着に事件の謎を解いていく牧史郎役の岸田森の演技など、印象の強い作品として脳裏に焼き付いている方も多いことだろう。

座談会では、制作に当たった橋本洋二プロデューサー、メイン演出の一人だった飯島敏宏監督、脚本家の上原正三氏、ゲストとして出演した桜井浩子さんと田村奈巳さんが登場し、制作当時の思い出を語り合った。

橋本氏は「当時の円谷プロは非常に若々しいスタッフが多くて、活気に満ちあふれている中で私としても何か新しいものを作ってやろうという気持ちで取り組んでいました」と番組制作時の心境を振り返り、「DVDを見てもらえればまた様々な方からの反響があるのではないかと自負している」と、44年を経ても色褪せない作品クオリティの高さを強調した。

一方、第8話『恐怖の電話』に出演した桜井さんは、同話を演出した故・実相寺昭雄監督との思い出に触れ、「『ウルトラマン』をやっていたときには変なことばかりやる監督だなという感じだったのが、『恐怖の電話』の時には実相寺昭雄という監督の才能がキラキラと見えて、私自身も自分にどうさせたいのかということにすごく興味が湧いて、実相寺さんと岸田森さんがアイコンタクトでやり合っているのを見て、演出家が周りを支配しているという状況を始めて体験した気がして、女優として転機になった作品でした」と熱く語った。筆者は座談会の直前にこの回を試写で改めて見たのだが、フジ・アキコとはひと味違う大人の女優・桜井浩子の姿が垣間見られた気がした。ファンの方はぜひ要チェックだ。

そのほか、ウルトラシリーズとはひと味違う、大人向けを意識した少しどぎつい表現も多く取り入れられた知る人ぞ知る名ドラマ『怪奇大作戦』、当時見逃してしまった人も、子供の頃怖すぎて正視できなかったという人も、今じゃちょっとお目にかかれない独特の世界観を体験していただきたい。

<編集部・足立謙二>

特撮とSFと鉄道を愛する自称昭和キュレーター。1年のギャップと闘う昭和41年男。

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