こいつの季節到来で我想ふ。

東京が冷え込んできた。朝の情報バラエティでは、今日の東京は12月並だと連呼していた。さすがにコートは抵抗があり、ジャケットで家を出たが寒かった。するってえとこいつが食いたくなる。

 

オフィスのある浜松町におけるカレー南蛮は、江戸時代から続く「更科布屋」さんと、街そば屋の典型のような佇まいながらどっこいやぶ系の血を引く「やぶ砂」さんの一騎打ちである。双方ともに逸品であり、食いたくなった日の足をどちらに向かわせるかは毎度おおいに悩む。しかも今シーズンの一発目である。散々悩み抜いた末、今回は「やぶ砂」さんにした。

 

それにしてもカレー南蛮てのは罪なヤツである。インドやネパールの方々が食ったらカレーの仲間とは思わぬかもしれないが、日本人にとっては大切なカレー料理の一つだ。この味をご飯にかけたカレー丼なんてのもサイコーなのだが、やはりそば屋がそばのために考案したのだからそばである。いやいや、かつて大食らいだった頃はもりとカレー丼を双方平らげていた。57歳の胃袋はそんな無理ができなくなっていて、寂しい限りだ。

 

さて、すべての日本人に問う。カレー南蛮における、まず肉は豚か鳥か? そしてネギは玉か長か? ちなみに我が町の2大カレー南蛮は、ネギは双方ともに玉であるが肉で割れる。今回いただいたのは豚で、ありていに言えばカレー南蛮のしっかりとした味にはよく合う。が、江戸からの老舗は鳥ながらそれが柔らかいことこの上なく、これのそばを抜いてもらって鳥増量をビールでいただきたいという夢がにはある。以前、このつぶやきでもご紹介した「更科布屋」さんで飲むチャンスがあると僕は必ず「天ぬき」をオーダーする。温かいつゆに海老天が1本つけられているから、正確に言えば「天ぷらそばのそばぬき」なのだが、せっかちな江戸っ子がこの頭とお尻の文字で呼んだのが由来である (ウソ・勝手な想像です) 。夢の到来の日に僕は「カレー南ぬき、肉マシマシで」とオーダーするのだ。そんな無粋なことは絶対にできないから、夢だ。そう、いちいち新しい夢を描かなくていいから、夢はある程度のサイズがあった方がいいのである。

 

こうした素材の差異って、やはり日本人の豊かさの表れだなと愛してしまう。年末になれば、雑煮の餅の形と何でだしを取るのか、具は何かなんて会話を必ず交わしては、やはり江戸がいいなと胸を張ったりする。これは各地の出身者が同様だろう。今が旬の山形の芋煮も、牛と豚、醤油か味噌でエリアがわかると言う。そんな伝統を大切にしたいところだが、さてさてカレー南蛮にそれほどの歴史はなく、店主の好みで供されていることだろう。僕が本当に好きなのは、豚肉長ネギの組み合わせだったりするのさ、チャンチャン。

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