東京下町の名店を発見。

酒場とは摩訶不思議なり。まだまだ知らぬ名店があるものよ。今日は少し以前に見つけた、自信を持ってオススメできる居酒屋をそっとご紹介しよう。

 

我がホームタウン、東京都荒川区の町屋で偶然飲む機会を得た。残念ながらかつて通った店はほとんどなく、さてどうしようかと思案していたところ完全なるよそ者のこの日の連れがいい店を知っていると言うじゃないか。「荒川区ってのはそんな甘いもんじゃねえぜ」と心で嘲笑いながらも着いていくと、駅ビルのサンポップマチヤの地下だった。「案の定だよ、駅ビルとはやれやれだぜ」と思いながらもの店がないのだから仕方ない。インすると壁にはメニューの書かれた短冊がびっしりだ。「おっ、これはなんだかすごいぞ」と少し気持ちが変わった。店名が「ときわ食堂」だからなおさらで、僕がこよなく愛している浅草の名店「水口食堂」を想起させるじゃないか。短冊具合も水口さんと酷似している。連れに焦りを見せないようにしつつ、心の中では「こいつは大変なことになったぞ」とかなり焦っている。そしてメニューに今日の写真、浅草の「水口食堂」がオリジナルと胸を張っている「いり豚」があるからなおさらだ。うーむ。

 

浅草でいただく「入り豚」も同じようなルックスながら、もう少し味は複雑である。カレーの風味、きっとデミグラス、そしてケチャップその他で味付けされていると思われるが「ときわ食堂」では、ほぼナポリタン味というかケチャップ味というか、複雑さはあまりない。その分なのか値段も400円と水口さんよりも230円も安い。「ときわ食堂」についてネットレベルでだが調べてみると、これがすごい歴史と出会えたのだった。

 

ご興味のある方はサイトを見ていただければいいので、ここでは極めてシンプルにご説明しよう。「ときわ食堂」の創業は明治にまで遡る。そこからの暖簾分けで都内に広がっていったそうだ。そして現在、東京下町に多くある「ときわ食堂」は、「東京ときわ会」に加盟している由緒正しき暖簾分け店たちで、駅ビルで営業しているからなんちゃってだと思ったらとんでもない。そしてこの町屋の店は、浅草の「ときわ食堂」が源流となるそうだ。

 

ここで謎を解きたくなった。浅草でがんばる「水口食堂」と「ときわ食堂」の関連性である。双方いり豚をラインナップしていることと、これでもかーっと壁に貼り出された短冊の感じは前述したとおりだ。どう考えても関連性が全くないとは思えない。次に「水口食堂」に行った時に、女将さんに関係を聞いてみるつもりだ。が、もしやよろしくない関係性で出禁になったりして。いやいや、そんな器量なしじゃない。楽しみである。
 

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