そうだっ、ギター買おう!!

隔月発行に踏み切って1周年となる次号の制作が、いよいよ終了に近づいてきた。今回も盛りだくさんの内容でお送りするので、乞うご期待ですぞ。

この雑誌をつくり始めて12回目の〆切を超えたことになる。毎度のことながら、内外の人間が入り乱れて怒濤のごとく印刷所へ渡す瞬間へとつっ走るのだから、ものスゴイパワーの結集となる現場だ。〆切がこなければ生まれない力の連鎖であり、参加するのは編集者やライター、デザイナーなんかはもちろん、印刷所の方々を含め、雑誌というヤツはじつにたくさんの人の作業の上に成り立っている。

先日、落語家の立川談慶さんと呑んだときに「僕の仕事は何十人もの力を借りてやっとのことでカタチにしていて、1人じゃ表紙1枚さえつくれない。でも談慶さんはたった1人で自分の世界をつくって、お客さんを引きずり込んでいくじゃない。ヒック」なんて感じの話になって、互いの仕事のあり方で盛り上がった。よきタメ年との共感から自分を考察して、少しでも前を目指そうとするのは『昭和40年男』のコンセプトであり、まさに地でいっている僕だ(笑)。

何度か観にいった寄席の会場では、様々なスタッフの方が手を貸しているからすべてが1人でというわけではないが、1人の肩にずっしりと負荷がかかっている。それにいざとなったら、たった1人でもなんとかなるはずだ。まず手売りで前売りチケットをさばく。会場は広めの蕎麦屋の座敷を借りて、開場前にテーブルを片して座布団を並べる。開場時間になったらチケットを受け取り、お客さんを全部入れたらここまでちょっと慌ただしかったから、しばし集中力を高めてスイッチを入れ替える。よっしゃと登場すれば、普段と変わらないクオリティの落語を提供することができるのだ。ところが僕の仕事は、皆さんに提供している形態のものを1人で作り出すことはほぼ不可能だ。印刷なんか絶対に無理だし、写真やデザインだっていまのクオリティのものを僕が出すのは到底無理だ。

趣味レベルだが音楽をずっと続けてきた。バンドが解散しても歌を捨てることができず、しがみつくように下手な弾き語りを披露している(浅草秘密基地に聴きにきてね)。これだっ。いま細々とやっている弾き語りを、中細くらいに昇格させてやればいいのだ。たとえば年に1本でも、さっきの話じゃないが蕎麦屋でいいからワンマンライブをやることを目標にがんばってみるかとポジティブ気分にスイッチが入ると、さらに思いつきニヤけてしまった。そうだっ、アコースティックギターを手に入れよう(そこかっ)!!  エレキ人間なんでもともとはあまり好きでないのだが、いつでもどこでも表現の場にできるじゃないか。プロと素人の差こそあれ、談慶さんと同じくなにからなにまで1人でできるカッコいい領域に入れる。

くどいが、アコースティックギターは好きじゃないどころか、カッコいいと思ったことがない。それでも欲しくなったのは、気持ちの中でよっぽど1人表現を求めているのだろう。ホントにいい影響を受けたな。加えて、仕事は年々忙しくなるばかりで、誰かと一緒に仕事をしている時間ばかりが積み上がっていく。だからよけいに1人でなにかをする時間を欲しがっているのかもしれない。〆切で何日も編集部屋にこもっているから、なおさら1人になりたくなる。よーしっ、一生ものの1本を手に入れるかな(長期ローンで)。すべての作業が終了直前の今、そんなことを考えている。

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