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『鈴鹿8耐』を終えて、渡辺一樹選手に胸を張る昭和40年男。

2014 年 7 月 28 日 プロデューサー コメント

熱くて暑い、鈴鹿の3日間を終えて会社に戻った。昨日までのことが嘘のように街はいつものままの表情で、なんだか昨日のことが遠く夢のように感じてしまう。声を張りすぎてつぶれてしまったノドと、ヒリヒリする日焼けした肌が、昨日の現実を気付かせてくれるような不思議な感覚である。

僕にとって『鈴鹿8耐』とは、15年連続で欠かさず出かけた取材の現場だった。去年、イベントの仕事でそれが途絶えたことで、張りつめて糸がぷっつりと切れ、取材に行くのはもういいだろうと思っていた。灼熱地獄の中で重い機材を背負って取材するのは40代後半の体には厳しいし、若い連中に任せた方がいいだろうと完全に引退を決め込んでいた。だが、カワサキが復活参戦を決めて、しかもそこで仕掛けるイベントのMCを任されたのだから、人生なんてなにが起こるかわからんものよ。完全に切れていた糸を結び直してのぞんだ3日間は本当にあっという間に過ぎた。

 

 

レース直前、集中力を高める『チームグリーン』のエース、柳川明選手を見守る、左が渡辺一樹選手。右はナイスガイ、藤原克明選手だ。この後、雨によってまさかのスタート遅れとなり、柳川選手は1時間以上待たされることになってしまった

レース直前、集中力を高める『チームグリーン』のエース、柳川明選手を見守る左が渡辺一樹選手。右はナイスガイ、藤原克明選手だ。この後、雨によってまさかのスタート遅れとなり、柳川選手は1時間以上待たされることになってしまった

 

 

注目のカワサキ率いる『チームグリーン』は12位だった。結果だけを聞くと残念と思われてしまうかもしれないが、決してそんなことはない。堂々の完走だと僕は心から拍手を送り、レース終了後に行なった僕のイベントに参加してくれたカワサキファンの皆さんもきっと同じ気持ちで、堂々と胸を張ったはずだ。本当にいいチームだった。ライダー3人は個性や人間性がキッチリとかみ合った、清々しさを感じさせるトリオだ。出来れば来年もこの3人の戦いが見たい。

表彰台を狙えるチームが12位に終わった最大のポイントは、イベント仕事でずいぶんと絡むようになり、このブログでも幾度となくネタにしてきた若きライダー、渡辺一樹選手の転倒だ。第1ライダーのエース柳川明選手から4位でバトンを受け取って走り出した。予選からトップテントライアルまで絶好調だった渡辺選手は、好調をキープしたままの走りを見せて追い上げていった…。

参加チームの中で優勝にもっとも近いチームは、ホンダに2つとスズキに1つで、それに準じていくつかのチームがあり筆頭が『チームグリーン』だと僕はとらえていた。雨の中でスタートした第1ライダーの中に雨を大の得意とする選手がいて、2位以下に大きな差をつけていた。しかもこのチームは優勝にもっとも近いチームの1つだ。路面が乾き始めると早めのライダーチェンジでスリックタイヤにして、さらに差を広げた。大きく引き離されていく中でまたも雨が降り出し、各ライダーがペースダウンする中で渡辺選手は攻めた。果敢に攻めて順位を2位まで上げて、トップとの差をいよいよ詰めようという場面での転倒だった。

 

 

無謀? そんな言葉は傍観者だから言えることで、本人は判断のうえで攻めたはずだ。まだ彼とはなんの話も出来ていないから完全に僕の想像だか、プロなんだからリスクは百も承知だ。そのリスク以上に雨という魅力的なチャンスがやってきた。そしてもう1つ大きかったのは、彼は表彰台に登ることでなくその真ん中に立つことだけを考えていた。だから強いホンダのトップ独走は許せない。その的確な判断の上で攻めたとしたら、無謀どころかあっぱれじゃないか。結果として“たまたま”転倒してしまっただけで、もしかしたら大英断になったかもしれない。誰もがリスクを背負わない中で、渡辺選手だけが違ったのを僕は誇りに思う。

レース最中に2度行なったイベントには、多くの『チームグリーン』ファンが集まった。転倒にやや元気をなくしていたが、僕の持論に参加者たちの多く(実は全員だと思っているが)は同意を示してくれ、さらにテンションを上げて応援してくれたのだった。くさい言葉だが、心を1つにすることか出来た。だからだろう、昨日のイベントの盛り上がりはなんとか48のコンサート以上だった(笑)。

もう1チーム注目の、タメ年で友人の鶴田さんが監督を務める『エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTAR』は24位と、これも転倒によるものだ。詳しいことはわかっていないが、こちらはやや悔しさが残る転倒だった。長く荒れたレースがあと40分程度で、しかも7位を走っていたところでの痛恨の転倒でありながら、諦めることなく突貫で修復してコースに出た。堂々の完走である。

昨日書いたとおりの、でっかい感動がいくつもいくつもあった『鈴鹿8耐』だった。だがひとつだけ大きな後悔がある。レース前に渡辺一樹選手と握手したときに「北村さんが一番緊張してますよね」と言われてしまった。ハッと気が付いた。レース前のレーサーに緊張した表情を見せるとは、なんちゅう大バカモノなんだろう。まだまだ男が練られていないと反省しきりである。

 

 

 

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    平成乃昭和
    2014年 7月 28日 18:36 | #1

    いやいや本当にお疲れさん!
    あの暑さの中、みんな凄いぜ!

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    ca-ni
    2014年 7月 29日 08:12 | #2

    お疲れ様でした。
    テレビ観戦でしたが、現地の熱気はバリバリ伝わってきました。
    天気が二転三転して関係者は大変だったでしょうが、見どころ満載なレースでした。
    すべての関係者に感動をありがとうと言いたいです。

  3. 平成乃昭和さん、ありがとうございます。
    暑さってなれるんですよ。取材初日の金曜日が一番キツかったです。

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    プロデューサー
  4. ca-niさん、ありがとうございます。
    そうですか、熱気が伝わりましたか。感動をありがとうとはなんとうれしいコメントなんでしょう(泣)。

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    プロデューサー