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昭和40年男が憧れるマスター!!

2013 年 12 月 3 日 プロデューサー コメント

音楽をこよなく愛するその男は、趣味に留まることなく大手レーベルに入社したそうだ。だが心の底から満足できずに、この店をオープンさせた。22年間にも渡った業界人の看板を降ろして、自分の好きな音楽だけをかける城を築いたのだ。

僕ら世代の男の子は、喫茶店を持つことを夢描いた者が多いのではないか。『750ライダー』で、みんなのたまり場となっている『ピットイン』のマスターに憧れた。若者たちに囲まれてゆったりと生きている感じがなんともいえずよかった。こんな職業だったら幸せだろうなと。また、高校時代の自分たちにとって喫茶店は大切な社交場であり、マスターは人生の教科書だったことも大きく影響している。いつか自分もこんな店を持ちたいとの夢は、酒をカッくらようになるとバーへと変わった。お客さんたちとの会話を楽しみながら毎日を謳歌したい。男のロマンがどっさりと詰まっているキングオブ職業が、バーのマスターだ。そしてこの店のマスターは、いつ行っても幸せそうに過ごしている。

ある日、マスターが勤務していたレーベルの元部下の方に連れてきてもらった。アナログ盤とCDがドッサリと積まれていて、大きめの音量でロックをかけてくれる。店名はきっと『Dancing in the Moonligh』のヒットで知られるバンド『キング・ハーベスト』が由来だろう。よくよく考えるとこんな大事な事をキチンと確認していないままに、ヘビーユーザーになっている僕だ。CCRやCSNあたりをこよなく愛し、店の雰囲気もそれらがマッチする。僕にとっては、大好きなニール・ヤングを聴く特上のスペースでもあり、古いブルース盤もたくさんある。正面に飾られているのは伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンのアナログ盤で、僕自身も大切にしている1枚である。

赤坂ロックバーこれまでにリクエストした曲でなかったものはない。それどころか、その曲だったらレアなライブバージョンもあるとセレクトしてくれることもしばしばある。だからか、ここに来るときには必ずリクエスト曲をいくつか考えて向かうようにしている。
「マスター、今日は○○が聴きたくて」とおねだりすると、ちょっとだけ自慢げに応じてれる。曲が流れてくるとマスターは、このカウンターの中央で目をつぶって左右に体を揺らす。まるで音楽に身を預けるように、そしてこの瞬間を極上のものとするように聴き込んでいる。店を切り盛りしているのだから、きっと多くのご苦労があるだろうとは思うが、こちらからはこの世で一番幸せな男に見えてくる。その姿を見てると、そのまま自分も音楽に入っていけて、曲の深いところを感じながらの時間となり、明日への元気をタップリもらって帰路につくのである。

いつか店を持ちたいという、あくまで夢のレベルであるが僕も持っている。渋い爺ちゃんになった僕が、若者たちにアナログ盤でブルースやロックを聴かせる。チビリチビリとウイスキーを呑みながら、気分がいいとギターで歌ったりもする。
「マスターの時代の音楽って、なんだかいいっすよ。味っていうんですかね」なんて言われて、シワシワの顔をもっとシワシワにして笑顔で頷く。そして「昔ばかりがいいわけじゃないさ。今の音楽だってしっかりと受け止めるんだぞ」なんて、カッチョいいマスターを演じたりするのだ。仕事を引退した第3の人生をこんな風に過ごしたいとずいぶん前から描いていて、そのカタチに最も近い店がこの『キング・ハーベスト』と、『浅草秘密基地』の舞台になってる『ショットバー・フィガロ』だ。幸せにしてくれる特上のバーで、尊敬するマスター2人である。

 

 

 

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