【S40News!】NEWアシモ登場!

Hondaは、世界初となる自律行動制御技術を搭載した、ヒューマノイドロボット「新型ASIMO」を発表した。

アシモといえばホンダが世界に誇る人型ロボットで、96年のP2、97年のP3を経て、2000年に発表され、話題を呼んだ。景気悪化による開発スピードの悪化か、07年以降は新発表もみられなかったが、震災、円高、タイの洪水といいとこナシの日本の製造業の代表ともいえる自動車メーカーにおいて、アシモのリニューアルは明るい話題といえそうだ。

新型アシモは、自律性がさらに高まり、人の操作を介在せずに連続して動き続けることが可能となっている。知能面、身体面ともに状況適応能力が格段に向上しており、多くの人が行き交うパブリックスペースや、オフィスといった環境での実用化に、また一歩近づいたかたちだ。周囲の人の動きに合わせて自ら行動する「判断」能力を備えたことによって、これまでの「自動機械」から「自律機械」へと進化しているのが大きな特徴で、開発にあたっては
(1)とっさに足を出して姿勢を保つ「高次元姿勢バランス」
(2)周囲の人の動きを複数センサーからの情報を総合して推定する「外界認識」
(3)集めた情報から予測して、自ら次の行動を判断する「自律行動生成」
の3つの実現が目標におかれた。


身体能力の進化も著しく、従来よりも脚力がアップされ、脚の可動域を拡大したことに加え、着地位置を動作中に変更できる新たな制御技術を取り入れたことで、歩行や走行、バック走行、片足ジャンプ(ケンケン)、両足ジャンプといった高度な動作を連続して行なえるようになった。俊敏に動けるようになった結果、凹凸のある路面でも安定姿勢を保って踏破できるなど、変化する外部の状況に、より柔軟に適応できるという。



さらに手のひらに触覚センサー、5指それぞれに力センサーを内蔵し、さらに各指を独立して制御する高機能小型多指ハンドを開発。これを視覚と触覚を合わせた物体認識技術と組み合わせることによって、例えばビンを手に取ってふたをひねる、液体が注がれる柔らかい紙コップを潰さずに把持するなどの作業を器用に行なうことができるという。さらに複雑な指の動きを必要とする手話表現さえも可能にしている。

とにかく驚きの進化をとげている新アシモ。この技術は歩行アシストなどの製品への応用が進んでおり、現在も開発が進んでいる。また、原発事故において災害用ロボットの必要性を思い知らされた我が国としては、有事の際に活躍できるロボット技術にも注目が集まるところだが、ホンダではアシモの技術を応用して開発した作業アームロボット(試作機)を開発している。人が作業できないような危険な場所や災害現場などにも、自走式台車に乗せて移動させることができ、不安定な足場や障害物が多く狭い場所でも、遠隔操作で作業対象にアプローチし、安定的に作業を行なうことを目指している。アシモのもつ高度な姿勢制御技術を応用することで、足場を固定できない不安定な場所でもアームの先端姿勢を安定させ、必要な作業出力を発揮できるそうで、コンパクトなレイアウトや関節に組み込まれた57個ものモーターを同時に制御する多関節同時軌道制御技術の応用により、複雑に入り組んだ狭い環境下においても、障害物を回避して対象物にアプローチできるという。同社では、今後もこうした応用製品の実用化にも積極的に取り組んでいくとしている。日本の新たな産業分野としての発展も期待される分野だけに期待したい。


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