奇跡への序曲。

今年1発目の勝負がいよいよ明日から始まる。さて、どうなることやら。創刊から数えて11回目の発売となるのに、そわそわした感じはまったく治まることがない。いつか圧倒的な支持を受ける日が、どうしたら来るのだろうか? 答えは『昭和40年男』の取材現場でちょくちょく出くわす。奇跡が起こる裏にあるのは、血のにじむような努力や、諦めない気持ちといった、ごくあたり前の言葉を昭和の成功者たちは口にする。聞くたびに自分の現場へと持ち帰って、必死になって立ち向かっている。きっとどこかに一線があって、そこを越えるための情熱を持ち続けることなのだろう。目を閉じて手を伸ばす。進んでいった先に壁があり、そこが成功だとする。一歩、また一歩と進み、もうあと数センチなのか、それとも何十キロなのか? 到達しなければわからないことであり、一歩を出し続ける勇気と信念があるかどうかで決まることだ。

『昭和40年男』は、まだまだビジネス的な大成功とは言えないが、騒ぎが大きくなっている快感は感じている。明日発売の11号のネット予約も上々で、発行ごとにランクは上がってきている。だが、徐々にネット販売の比率が上がってきたとはいえ、いまだ主戦場は書店であり、勝負の決め手となるのは、現段階で存在すら知らない方やなんとなく知っているが購入したことのない方が、パラパラと開いた瞬間だ。その1つ前段階で、手に取ってもらうことも重要だと、表紙づくりのことを書く度に述べている僕だ。

発行部数の目標は編集部内で共有していて、現状の雑誌業界ではかなり難しいとされるところに設定している。だが、無謀だと思っているスタッフはいない。一線を越えるすぐ近くのところまで、すでに来ているのかもしれない。逆にものすごく遠いかもしれないが、少なくとも向かっている気概はみなぎっている。雑誌の場合は部数だけをもってして成功ではなく、読者の皆さんから寄せられる声も、数字には表れない大きな成功だ。「おもしろかった」「元気をもらいました」と、そんな声がいただける度に、僕たちは達成感を得るのである。賞賛いただいた声の連鎖で部数が上がり、広告物としての価値が上がり、ビジネス的な成功となる。だから今は、シンプルに読者さんからの支持をいただくための努力を積み重ねている。工夫や戦略といったところももちろん大切だが、根幹の情熱がなければなんの役にも立たない。僕たちは人が生きていくために、なくてもいいものをつくっている。生活の中になにかしらのプラスアルファを提供することで、なんとか銭をいただいている。貴重な資源を使って商品を生み出しているのだから、大きなプラスを生み続けないと存在悪になりかねない。

奇跡への序曲は、去年の後半あたりからボリュームが上がっているように感じている。僕にとっては今日が大みそかであり、明日新年を迎える心境だ。今日は酒を断って願掛けなんかしながら、人がまばらになった事務所で粛々と作業を進めている。

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