名曲にこの男あり! ロックと歌謡界を繋いだ ザ・ギタリスト 芳野藤丸。本日誕生日男 !!

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じゃんけんで負けて始めたギター

▲撮影:小林岳夫

 
 芳野が本格的にギターを弾き始めたのは意外に遅く、大学に入ってからだったそうだ。

「高校生の時はフォークギターをポロンポロンと鳴らす程度だったんですけど、大学で軽音楽部に入って本格的にバンドを始めました。当時はジミヘンとかジェフ・ベックが流行っていたので憧れて。でも正直に言うと、ベースをやりたかったんですよ。僕の世代はビートルズの影響が大きくて、なかでも僕はポールがいちばん好きだったから。だけどジャンケンで負けてベースは取られ、残っていたのがギターだけだったんです。といっても、嫌々ギターを弾いたわけではないですよ (笑) 。ジミヘンやクリームのレコードを擦り切れるまで聴いてコピーして、寝る時もギターを抱えていたくらいでしたから」

 大学で組んだ最初のバンドは “WISH”。クリーム、サンタナ、ディープ・パープルらの曲をレパートリーとし、大学での演奏だけでは物足りなくなってディスコなどに出演するセミプロバンドとなった。そんな頃に芳野が音楽家人生を歩み出す最初の大きな出会いがあった。東京・赤坂の「シャバジン」という店で演奏していた時に観に来た、つのだ☆ひろだ。

「いきなり『一緒に叩かせてくれ』と言われてその場でセッションし、『今度バンドを作るので、入らないか?』と誘いを受けたんです。ひろは成毛 滋さんと高中正義とフライド・エッグというハードロック的なバンドをやっていたので、僕もハードロックがやれると思って『入ります!』って即答した。ところが入ってみたら、ひろが『オレは郷ひろみみたいになりたい』とか言い出して、ド派手な衣装を着せられてね。あの衣装は抵抗あったな」

 それがキャッチーなロッキンポップを演奏する “キャプテンひろ&スペースバンド” で、芳野は加入と同時に大学を中退。このバンドでプロとしての活動をスタートさせた。ちなみに “藤丸” という芸名を授けたのも、つのだ☆ひろである。

 
(次ページへ続く → “ロックシンガー” 西城秀樹との出会い [3/5] )

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