ティファニーと赤坂プリンスホテル。

今日はクリスマスイブですな。ティファニーを手にした男とそれを受け取る女が赤プリで一夜を過ごす…なんてあの日がまるで夢のように、昨今の多くの若者たちは背伸びをせずに、身の丈にあった1日を過ごすようになって久しい。これはこれで賢いなと頭ではわかっているが、あの頃のバカな喧騒が我々世代は好きな方が多いのではなかろうか。世の中がお利口さんになってしまったと嘆く貴兄に、そしてもしかしたらかつてそんなクリスマスマスを過ごしたナウでヤングなボーイズに、この写真はクリスマスプレゼントだぜ。寂しいけど、あのカッチョいいホテルはご覧のように解体された。下から壊してしていき、どんどん背が低くなるしという見事な工法だった。無様な姿をさらさないのは、さすがナウでヤングな男女を常に包み込んだ赤坂プリだぜ。

 

と、そんな書き出しにしたくせに僕とクリスマスは縁遠く、ティファニーも赤プリも遥か彼方の存在だった。ここ10年は必ず締切日がぶつかっていて、クリスマスどころか晩飯さえ忘れちまう聖夜を過ごしている。そんな僕だが、キラキラした街の雰囲気は大好きで、幸せそうな恋人たちの往来にほっこりするのを楽しむ。それとバブル期以上に街のキラキラが増しているのもよい。LEDのおかげだなんて無粋なことを考えたりもするが、まあありがたい。夜の街を歩いていて不意にイルミネーションに出くわすと「ああ、美しい」なんてニヒルに決めるのが僕流だ(笑)。キラキラに対しては少し斜めに構えてやさぐれつつ、心の中で喜んでいるのである。そしていつもの決め台詞「こんなもんだぜ」とつぶやき、職場に戻るのだ。うーむ、カッコいい(どこがっ!!)。

 

居酒屋で働いていた頃は、イブの営業はガラガラだった。25日は客が戻ってくるが、24日の売り上げは1/3程度に落ち込んでいた。さすがにロマンチックナイトを安居酒屋という選択はないらしく、ネクタイを締めたおっさんばかりだった。で、暇なはずなんだがバイトの大学生たちはティファニーだ赤プリだとお休みするから、人が足りず大パニックになる。きっとこのころからだろう、クリスマスにやさぐれるのが好きになってしまったのは。1日走り回ってヘトヘトになって終わるのがイブで、ハネると馴染みの居酒屋で一人酒だ。なんだか今も昔もまったく変わらないぜ。

 

明日でクリスマスツリーも役目を終える。街はお正月飾りへと大変身でこの転換もまた大好きだ。実際僕も、26日へと日付がかわった真夜中にイルミネーションの撤収仕事をした経験がある。その寒さったらえらい過酷だった。でも振り返ってみると、これらも締め切りもイブのつらさはいい想い出だったりする。過ぎてしまえばみな美しい。早くみんなでそう言い合える日が来るように、静かな聖夜に祈ろう。そして、読者のみなさん。メリークリスマス!!

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