マライア・キャリーに心をゆだねる夜。

僕らしくないセレクトだというなかれ、大好きなアルバムだ。まず断っておかなければなるまい、僕の人生においてクリスマスってのは果てしなく縁遠い。ガキの頃は煙突のない長屋住まいだったから、早々にサンタは来ないと諦めた。ハイティーンの頃は居酒屋のバイトで休めなかった。社会に出ると広告代理店づとめでクリスマス関連の仕事を受ける立場となり、25日は夜通しかじかむ手でデコレーションの撤去なんて貴重な経験もした。恋人たちがキラキラしているのを横目で見ながら、やさぐれて過ごすのが僕の人生にとってのクリスマスだ。この10年は『昭和40年男』の締め切りが重なり、会社近くでそばを食うことにしている。それもやさぐれムードを盛り上げるために立ち食いだ。と、そんな僕だがこのアルバムには心踊るのさ。

 

後に『王様のレストラン』で恋をした山口智子さんのドラマ、『29歳のクリスマス』の主題歌で大ヒットとなった。当時はすでに今の会社を始めていて、朝から夜中まで働きづめの日々だった (なんだかずっと変わらんが) からドラマは観られなかったものの、この曲は街にあふれていた。一発で惚れ込んだのは曲のよさと、なんてったってスーパーウルトラな歌のうまさだ。

 

僕にとって、ジャニス・ジョプリンとリッキー・リー・ジョーンズが洋楽女性シンガーの好みでワンツーである。一方で、歌のうまさという点で惚れ込んで中毒だったのが、ニーナ・シモンやアレサ・フランクリンなんかでいつもうなっていた。そんなスーパーな女性シンガーに割って入ってきたのがホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーだ。マライアとの出会いとなった曲がこのアルバムのトップを飾る「恋人たちのサンタクロース」だったのだ。で、このアルバムを即買いしたのさ。

 

94年発表だから、もうかれこれ四半世紀以上の付き合いになる。毎年この時期になると引っ張り出しては、深夜のひとりの居間で焼酎を飲みながらじっくりと聴き込む。次々と流れてくる歌に心を傾けながら、今年の自分を褒めてやるのだ。購入以来おそらく欠かしたことがなく、1年に一度だけプッシュプレイされる珍しいアルバムという存在で、僕の膨大なライブラリーの中ではその頻度は高い方になる。今年もそんな日を楽しむ時期だ。どんなに嫌なことがあったって、ほっこりすることはできる。近いうちにプッシュプレイしようっと。

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