ギャートルズ vs ルパン三世

懐かしの3番勝負の解説だ。投票がまだの方はこちらへどうぞ。

この対決は僕のセンスが光るね(自画自賛)。それにしても、当時のアニメソングはすばらしい作品があふれている。その中での対決としては、究極の2曲でないだろうか? 子供相手にこんなにも真面目な曲づくりをしていたことに、今さらながらありがたい時代だったと感謝である。

『やつらの足音のバラード(はじめ人間ギャートルズ) 』は、宇宙の果てしなさや時間の流れの雄大さを、感覚的にとらえさせてくれた。♩なんにもないなんにもないまってくなんにもない♩から始まるエンディングテーマは、まさに昭和40年男にとって血肉になっている曲だろう。そもそも『はじめ人間ギャートルズ』は、アニメ番組として画期的だった。マンモスの輪切り肉をうまそうに食べる姿や、母ちゃんより小さい父ちゃんが狩りに出かけ、大物をしとめる姿、酔っぱらって笑う父ちゃんとその家族の団らんなどなど、幸せな日本の家族をそのまま描いていた。まるで『男はつらいよ』の子供版だよ。こんな番組が支持されたこと自体に、我々の生きた時代や嗜好を誇りにできる。オープニングテーマの賑々しさも最高だよね。

この20世紀の名曲に対向できるのはこれしかないだろう。♩足〜元に〜♩の『ルパン三世その2(ルパン三世)』である。昨日ジュリーに男を感じ憧れたとしたが、アニメの世界ではルパンワールドに男を知り、やはり憧れた。ジュリー同様の種類のカッコよさである。2人に共通する、ちょっとニヒルな感じや、カッコつけることのダサイ感じを最大限に演じてしまうと、めぐりめぐってカッコいいのだと学んだ俺たちだ。松田優作さんもまた共通する男だが、やや完璧すぎて遠い存在に感じてしまうところがちょっとだけ違うかもしれない。

それにしてもこの2曲は音楽的なアプローチはまったく異なるものの、なんともいえない哀愁は共通点だね。今聴いてもまったく古く感じさせない耐久性を持っている。普遍的なよさだな。余談になるが、最新号の表紙で登場したウォークマンも同じく、最新プロダクトだった当時のデザインがまったく古さを感じさせない。シンプルであるものの、細部にまでこだわった美しさがある。懸命になった仕事ってヤツは色あせないのだね。2曲ともに今カバーして若い人に聴かせても、古い曲だとは気が付くまい。そして当時の番組エンディングでの画像も鮮明に記憶しているだろう。斬新なギャートルズのアートワークに対して、ルパンは曲を引き立たせるだけに徹したようなシンプルなものだった。ただ、このルパンの画像が胸に刻まれたことによって、後のバイクブームを支えた我々になったのかもしれない。ノーヘルで風を受けているのっていいなあ。

さあ、世界が注目する究極の勝負はどっちが勝つだろう?

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