杜の都、仙台の夜。

書店に並び皆さんと対峙して1週間が経った。まだ売れ行きの途中経過は入ってきていないが、感触は上々である。昨日は結構な数の書店から、追加注文が入ってきた。カワイイ分身たちよ〜。頑張っているか〜? かわいがってもらうんだぞ〜。

今回、僕は担当をあまりかかえられなかった。ちょっと大きな案件が重なったためで、その分他の編集者たちに負担がいってしまったものの、ふむふむ、しっかりと仕上がっていると自画自賛である。巻頭の宇宙特集の中で担当できたのは、たった1本で寂しい限りだが、今日はそのページの後記でも書かせていただこう。

「小惑星を発見したタメ年の方がいますよ」と、副編小笠原が探し当てた。「おーっ、おもしろいねえ。ロマンじゃないの」と、瞬間的に企画Go!!が決定して、出かけてきたのは杜の都仙台だ。イメージがいい街なのは、きっと『青葉城恋歌』の影響だろうな。夕方の市内で待ち合わせ、ファミレスでのインタビューとなった。

惑星発見の話はもちろんおもしろかったが、現在は別の角度で宇宙と対峙していて、僕にはすごく勉強になった。郷土史を通じて、かつての仙台藩の人間と宇宙との関わりを研究している。それは、今の視点からいってしまえば宗教的であるが、実は科学的であり学術的な研究成果だったのである。宇宙を見上げて古代人たちが考え抜いて出てきたのが“易”という発想で、これが大陸から旅をして日本にも入ってきた。知識として易学があり、信じるとか信じないとか、精神性のものでないことを知れたことが、不勉強な僕にはまさに目からウロコであった。こうした観点で研究を進めているタメ年の黒須さんの話は頷く連続だった。

夜の空を眺めて、しばし考えていると大きな心になる。無限の広がりを感じながら、やがて自らを刹那な存在に感じてしまう。きっと、今も昔も寸分変わらない。せめて慰めるために解釈や学術で武装する。人類そんな繰り返しなんですなあ。

とはいえこのご時世の人の暮らしは便利になったもので、ネットで検索していると相手の情報がけっこう取れる。そもそも、この方を見つけたのもネット上であるわけだし。そしてもっとも重要な情報をつかめたのは、黒須さんは酒呑みだということ(爆笑)。夕方の待ち合わせで誘わない手はないと「インタビューが終ったらどっかで呑りませんか」と、仕事が始まる前からそんな僕だ。「いいですね」と、至極カンタンに決定して、1時間半ほどの取材を終えて仙台の夜へと繰り出したのだ。酒の席では宇宙人の話にもなり、カメラマンでつき合ってもらった武田と3人で議論に花が咲いたよ。結局3人とも「いる」で決着がつくあたり、やはり昭和40年男ですなあ。呑んで食って笑った時間はあっという間に過ぎていき、再会を約束しての散開になった。いいものですよ、こんな風にタメ年がつながっていけるのは。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で