今こそ笑え!

昨日の仕事帰り、目的は買い物でなくスーパーに立ち寄った。残念なことに思った通りで、棚はガラガラになっていた。9年前と同じことが起きていて、なんとも言えない悔しさと悲しみを感じながら、売れ残りをかき集めてレジに並んでいる長い行列をただ眺めていた。小池さんのあのしかめっ面を見せられたら、こうなるのも仕方ない。それにしてもこれこそ濃厚接触だ。

 

日々続く騒動は、どうしても2011年を思い出させる。原発問題と進まぬ復興、そして電力問題で暗い街。誰の心も疲弊しきっていた。そんな2011年の7月発売号で組んだ特集が、今こそ笑えだった。今見ると稚拙ながらマグマみたいなパワーであふれている。つらい心の裏返しが誌面から満ち満ちているのは、僕自身が被災地に入って2度目の取材を敢行したことも大きい。被災したみなさんが、そのつらさを押し殺して笑ってらっしゃる姿に、たかが暗い日々で憔悴している自分を恥じた。それを誌面に目一杯叩き込み、ガハハな特集を仕上げたのだ。

 

ページは“俺たちの笑いの神々番付表”からスタートする。東の横綱は編集部員の異論反論ゼロでドリフターズにした。さらに続くページでは“お笑い番組 ザ・ベストテン”を作り、ここでも『8時だョ! 全員集合』が1位と、俺たちは完全なるドリフ世代だ。そう、コロナと闘っている志村けんに目一杯のエールを送りたい。元気な姿を見せてくれる日を心より祈っている。

 

こんな体当たり企画も敢行した。今は亡き海老一染之助さんに弟子入りして「いつもより余計回っておりまーす」を習ったのだ。これが難しかった。でも師匠の優しさと長年芸に打ち込んできた清らかさを目一杯吸い込むことができ、僕はたくさん笑った。そして感動でたくさんの涙も流した。その気持ちが特集全体にもありありと出ていて、先の見えない現在の騒動にも立ち向かっていく元気がもらえた。な〜んて、思わず引っ張り出した9年前の本からパワーをチャージした今朝である。

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