聴力の老化はわかりにくい?の巻

日頃、耳鳴りや難聴に悩まされているという方、意外と多いのではないでしょうか?通常の会話や家でテレビ観るなどの日常生活での「聴こえ」には特に不自由はなく、健康診断の聴力検査でも問題はないという方でも、知らず知らずのうちに耳の老化が始まっているかもしれません。本誌「昭和40年男」2018年10月号の健康講座でも取り上げた、耳鳴りや難聴、実は昭和40年男世代には悩みを抱えている人も多いようなんです。「気にはなるが、日常生活に支障をきたすほどではない」という理由で、治療を先延ばしししていると、完治できなくなるということです。つまり耳の不調は、よほど意識していないと治療のタイミングを逃してしてしまうという怖さがあるのです。

イラスト:市川リョウコ

私自身も、時々夜になると「キーン」といういわゆる耳鳴りがすることがありますが、継続的ではなく、比較的すぐに止んでしまうので、特に気にもせずに放置していますが、もしかして聴力が衰えたりしているのでは?とちょっと気になりました…。先日、自分の聴力が何歳くらいなのかが診断できるというYouTube動画があると知って、試してみたところ、それなりというか、ちょっとばかりショックな結果に。

8,000Hz以上の高周波が聴こえない!

その動画では、まず誰でも聴こえる8,000Hzから始まります。ヘッドフォンで聴くと、うるさいぐらいにしっかり聴こえるのですが、次に50歳以下なら聴こえるはずだという12,000Hzになると全く聴こえません。そりゃ50歳以上ですから、聞こえなくて当たり前と言われればそれまでなんですが、タニタ体組成計による体内年齢37歳という数値を真に受けている身にとってはショックは隠しきれず(笑)。まぁ気を取り直して、2018年10月号の難聴に関する記事を読み返してみたところ、「年齢と共に高い音は聞こえにくくなる」いうタイトルのグラフが載っていました。そのグラフの横軸(周波数)の値を見てみると上限が8,000Hzになっていて、50代では3,000Hzが聴こえにくくなってくるという人もいて、8,000Hzが聴こえるということは全く問題がないことがわかってまずホッとしました。ちなみにモスキート音と言われる15,000Hzの高周波は子供にしか聴こえないそうで、青年期になると聴こえなくなるのが普通のようです。私が試してみた動画によりますと、16,000Hzが聴こえたら30歳以下という診断基準になっていましたが、どうやらそれは少し違うようですね。

気になったら早めの受診をおすすめします

ともあれ、「聴こえ」に不安を感じたら、早めに診察を受けることが重要であると、当時取材させていただいた、神尾記念病院理事長の神尾友信医師は、はっきりとおっしゃっていました。とかく、命にかかわることはないだろうと、放置されがちな耳の不調ですが、まれに脳疾患が原因で聴覚神経に支障をきたしている場合もあるので、単に音が聴こえにくいというだけですまされないこともあるそうです(ごくまれですが)。直接命かかわることはなくても、あまりにもひどい耳鳴りなどの場合、ストレスとなりうつ病などの原因にもなると考えられていますので、日常生活にやや支障を感じるくらいの症状が出た時は早めに診てもらいましょう。発症から1~2週間以内だと、内耳障害によっておこる難聴の場合は改善できる可能性が高いそうです。放置している期間が長いほど改善の可能性がどんどん低くなるということですから、耳の不調は早めに専門医に診てもらいましょう。

職場や家庭でのストレス、睡眠不足や不摂生が耳鳴り・難聴などを悪化させる原因のひとつであると言われていますので、まずはそういった生活環境を改善することが必要です。とはいえ、現代社会ではストレスの全くない生活というのはまず不可能です。そういうことを考えると、数多くある生活習慣病と同じように、耳鳴りや難聴もまさに現代社会が原因の生活習慣病ということでしょう。悪化させない、発症させないためには、ちょっとした不調をそのままにしないで、治療を受け、自分自身も生活環境を整えるように努力するのが大切なようです。

最近は電気自動車が増え、ガソリン車のような大きな音を出さないので、突然後ろからクルマが近づいていて驚くことがあります。音は危険を察知するためにとても大切な役割をしていますので、聴力は間接的に命にかかわっている重要なものと意識しておきましょう。

イラスト:市川リョウコ

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