内分泌攪乱物質にさらされている日常の巻

ポリカーボネートやエポキシ樹脂をはじめ、さまざまなプラスチックの合成に使われている、有機化合物BPA(ビスフェノールA)をご存じですか?  環境ホルモン(内分泌攪乱物質)問題のきっかけになった物質と言うと、なるほどと思う方もいらっしゃるかもしれません。具体的にどんなものに使われているかというと、ペットボトルやラップ類、プラスチックの食品パッケージや飲料缶の内側コーティング、缶詰の内側のコーティングなどに使用されているため、日常的にそのをすべて避けて暮らすのはほぼ困難と言えるほど生活のなかに入り込んでいます。

そして、近年の研究ではこのBPAが、人の身体にさまざまな悪影響を及ぼすこともわかっています。女性の不妊症や乳がん、男性の精子の減少や前立腺がんなどにつながる可能性が指摘されているのです。BPAはホルモンをかく乱する作用があり、それによって先に述べたような健康被害につながりやすいということなのです。2010年にはアメリカ食品医薬局 (FDA) から BPA を含む製品の使用を控えるようにという警告も出されているという有害な物質なのです。

恐ろしいですね…、いくら無添加・無農薬にこだわった食品を選んでも、製品そのもののパッケージだけでなく、家庭での保存容器にまで含まれているとなると、今まであまり気にしていなかったことにも注意が必要です。とにかく、BPA-freeと記載されていない限り、従来のプラスチック製品にはほぼBPAが使われていると考えていいようです。さほど気にしないという人でも、ペットボトルやテイクアウトコーヒーなどの容器にまで入っていて、中の飲み物に溶け出していると聞けば、あまり気持ちのいいものではありません。「摂取ゼロ」は無理でも、気をつけることによって、かなり摂取量を減らすことはできるはずなので、まず今日からでも簡単に実践できることをいくつか挙げてみました。

・プラスチック包装された食品をなるべく避ける。

・保存容器はガラス製やステンレス製のものを選ぶ。

・プラスチック容器に食品を入れたまま電子レンジで加熱しない。

・できれば缶詰製品より、紙パックや瓶詰製品を選ぶ。

とりあえず、こんな感じで意識するだけでもずいぶん違ってくるのではないでしょうか。

カットトマトなども最近は紙パック包装のものが増えました。

日常の当たり前すぎる、いたるところにあるBPAをいかに体内に取り入れないようにするかは、いささか乱暴な言い方ではありますが、自身の心がけ次第というのが結論かもしれません。コンビニのお弁当を電子レンジで温めて食べるなんてことは最も身体に悪いことのひとつということになりますから、頻繁にそういう機会があるという人は気をつけたいものです。

恥ずかしながら、私自身も今まであまり気にしたことはありませんでしたが、我が家の台所を見回してみても、フライ返しなどの調理器具、ご飯をよそうしゃもじ、食品保存用の容器などなど、とにかくBPAが含まれていると思われるものがあふれています。遅ればせながら、まず買い替えられるものは少しずつ替えて、食品を電子レンジで温める時は、耐熱性のガラス容器や陶器に移してから温めることは実践しようと思っています。欧米では、日本で言うところの100円ショップのようなところでさえBPAフリーの製品を積極的に取り扱うようになっているそうです。日本でも大手通販サイトのショップで、保存容器などのBPAフリー製品を購入することができます。「ロック&ロック」という韓国のメーカーの製品はBPAを含まないトライタンという新素材を採用していて、価格も手ごろなのでおすすめです。また、こういった健康被害などに関する対応は、環境先進国ニュージーランドはやはり進んでいるようで、ネットショップでは同国の製品も販売されていますので、ぜひ気なった方は「BPAフリー」「ビスフリー」で検索してみてください。

いわゆる食品添加物などもそうですが、実際に目に見えないうちに身体に入ってしまうものには、とかく無頓着になりがちです。あまり気にしない人は、気にする人を「気にし過ぎ」と思うこともあるでしょう。しかし、普通に世の中に出回っているものだから、安心して食べられる、安心して使えるものだという保証はありません。その影響がよくわからなくても、大豆製品などは、なんとなく「遺伝子組み換えでない」と表示されていると安心して購入するという人は多いと思います。日本はBPAフリーなどの対応には後れをとっているという感じが否めませんが、健康被害を避けるため、できることに関しては自分自身で対策を考えるということは「遺伝子組み換えでない」食品を買うくらい大切なことのような気がします。

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