コパトーンでギンギラ太陽と勝負した俺たち ~大編集後記。

ナイトプール? なんのこっちゃ。桑田さんが世紀の名曲『ヨシ子さん』で、サブスクやEDMをまるでわかんねえと歌っているのと同じく、な~に都会の真ん中で夜に夏しちゃってんのよと叫びたい僕だ。プールだったら区(市)民プールだろがっ。でもね、公営のプールって禁止だったよね。何がって、コパトーンですよ。

 

小麦色をこよなく愛し、絶滅危惧種になっていることを強く憂いている僕なのだが、実は日焼けに弱かった。シーズンイン1発目の海に出かけた夜は、肌の痛みと戦いながら高熱を出してうなされた。この1発目を終えると、ギンギラ太陽と勝負後の痛みも発熱もなくなるから、とにかくシーズンインは耐えるしかなかった。ガキの頃から、20代前半の夏はいつもそうして過ごしていたのさ。ハイティーンの頃よりは、痛みへと一直線に向かわせてくれたのがコパトーンで、その痛みを沈めてくれたのがシーブリーズだった。双方の香りは、蚊取り線香とともに、僕にとって夏の3大いい香りである。

 

コパトーンについては特集扉でも触れた
~小麦色を超える褐色を目指し せっせとコパトーンを塗り込んだ俺たちだ 火照った身体にシーブリーズが心地よかったぜ~と。日焼けはナウでヤングな男の象徴だった。黒く仕上がった肌にコパトーンを塗り込んでギンギラギンの肌で砂浜を闊歩すれば、小麦色のエンジェルたちはみんな振り返った。というのは、うそ。黒くなって女の子の視線を集めるのは、チャラくキメたサーファーたちだった。さらさらロングヘアーに適度な筋肉がついたボディはコパトーンでテカテカのうえ真っ黒け。サングラスを外せば大きな瞳で女の子をガン見で手中に入れちまう。そう、僕のような薄汚いミュージシャンは海でモテるはずがなく、純粋な心で波と戯れ、黒い肌を手に入れるだけで、エンジェルたちはゲットできなかったのさ。そんな僕だったけど海は大好きだった。なんだか目の前のシーンがすべて甘酸っぱい感じがして、青春のど真ん中にいる気がする。それを盛り上げてくれたのはいつだってコパトーンの香りだったのさ。

 

海水浴から若者が遠ざかって、ナイトプールなのだそうだ。女の子たちもインスタ映えにひたすら励む。これぞまさしく、消えた…俺たちの夏である。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で