昭和なそば屋がやはりいい。

この外観、昭和を愛するおっさんたちにはたまらんだろう。ホンダのカブが置いていないのだけがちょっと残念ながら、きっと出前をやっていないのだろう。かつて、付き合いのある会社がこの近くにあり、この渋い店構えに誘われるように入店したのはかれこれ20年以上前だ。いわゆる普通の街そば屋だと思って入ったら、ここがとんだ名店だった。

 

客の多くのおめあてが、下の写真のねぎせいろだ。イカのかき揚げとネギが温かいつゆに入っていて、ここにシャッキリとしめられた細いそばをくぐらせる。理屈いらずのうまさで、唯一のツッコミどころは若干お高いところかな。でもね、得られる満足からすると決して高くない。テキパキと動き回っているおばちゃんたちも気持ちよく、客層も年齢層が高くて居心地がよろしい。高級店のふりをしていいと思われるクオリティなのだが、街そば屋の象徴であるテレビはしっかりと設置されていて、番組が垂れ流しになっていることで庶民との関係を繋ぎ止めてくれている。

 

近くに行く用があるとほぼ必ずと言っていいほどいただく。先日、上野で打ち合わせがありやはりのれんをくぐった。うまいっ、相変わらずのうまさに感激のおっさんだった。前述した通り、細くて滑らかな口当たりのそばはここの特徴だ。つゆもこれぞ昭和というしょっぱさと甘さのバランスで、関西の方々が「真っ黒やん」とバカにするまさにそのど真ん中を突き抜けている。絶妙なネギの火の通り具合と、かき揚げのうまさと細いそば。これ以上の組み合わせは、レッド・ツェッペリンの4人かポリス3人くらいしかないだろう(笑)。書いていてまた食いたくなってきた。

 

令和に突入した現代では、絶品ネギせいろもさることながらこの面構えこそが昭和の象徴だ。できれば建て替えることなく、永遠に営業を続けて欲しいと願っている。上野にお越しの際には立ち寄ってみてはいかがだろう。おっさんの舌と心を撃ち抜くぜ!!

 

翁庵(おきなあん) 東京都台東区東上野3-39-8

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