春本番、おっさんのそばに変化あり。

寒風吹きすさぶ都会で、背中を丸めてそば屋へと走る。
「親子かきたまお願いします」
待つことしばし、熱々のこいつが出てくると冬が幸せに感じられる。

 

 

ここは浜松町の大門の交差点より増上寺に向かって少し歩いた右側にある布屋更科だ。江戸時代から続くそば屋でありながら、まったく偉そうにしていない感じが大好きなそば屋だ。老舗のわりに、説教くさいところがないのも大好きな要因だ。メニューもニューウェーブな品が数多くあり、この親子かきたまも出汁で鳥を煮たところに卵をちらしてとろみをつけるものを想像するが、ここのは鳥が唐揚げなのだ。これで一杯呑れそうなうまさで、うまい出汁に美しく入る卵は最高にふんわりに仕上がっていて冷え切った体をしっかりと暖めてくれる。

 

続いて浜松町駅の金杉橋口から15号に出た角にある、屋号は更科だ。ここで冬の定番にしているのは鳥南蛮で、たっぷりのネギと鳥がたまらない。

 

 

七味をやや多めに振りかけたら出汁は一滴も残さずにいただく。やはりポカポカで店を出られる、冬には最高の一杯だ。そして今、東京は春本番となってきた。となると、前述の2杯にはしばしお別れで、冷たい蕎麦が食いたくなる。となればガツンとこいつだ。

 

 

浜松町が誇る貿易センタービルの地下食堂街にある、布屋更科の支店のカツ丼セットだ。ここは冒頭の布屋更科よりさらに江戸時代うんぬんをさらに感じさせない明るさがいい。チャキチャキのおばちゃんたちがイキイキと動き回る気持ちのいい店で、ここではおばちゃんとの会話も楽しみのひとつだから、ぜひそれも楽しんでいただきたい。

 

僕の大好きな3軒をご紹介した。我が街にお越しの際は立ち寄ってみてはいかがだろう。格別のうまさというわけではないが、昭和なそばを堪能できるはずだ。

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