グレコとフェルナンデス。

3月が終わっちまう。早くも今年の1/4を消化してしまったことになる。月日の流れが早すぎてついていけてない同世代諸氏ではなかろうか。僕は完全に置いてかれている。

 

先日、水戸に取材で出かけた。あるシンガーのルーツを探る仕事で、彼女が通った楽器屋で話を聞いたのだ。大きな楽器屋さんで、かつてはヤマハの音楽教室に来る子供達であふれかえっていたそうだ。当時はピアノをバンバン売っていたとのことだが、昨今は少子化とピアノを弾ける住環境がなかなか作れないことで需要は激減していて、経営努力として書道とそろばんまでも教えるようになったとのこと。保育園のように預かることで需要が生まれるともおっしゃっていた。エレキギターやベースなんかも扱っていて、この地域の楽器需要を支えてきた店なのだ。

 

ここで、古びてはいるが状態がよいグレコを見つけた。僕が高校の合格祝い買って貰う際にさんざん悩んだ対抗馬で、店主と話していると購入タイミングがほぼ一緒だとわかった。昭和56年に購入した写真のフェルナンデスも現役でバリバリの1本で、当時はエレキギターブームで楽器メーカーに勢いがあった。グレコやフェルナンデス以外にもヤマハやトーカイなんてメーカーもあり、大量のエレキギターを市場に投げ込んでいた。ライバルメーカー間の競争が熾烈で、そのままレベルの高いモノづくりに繋がったのだろう。「当時の国産モデルはものすごくよく作ってありますよ」と、楽器のプロがそう語っていた。

 

公立高校に受かったら買ってやるとこのギターを手に入れた。そしてその年の今日、僕はこいつを相棒にして生まれて初めて人前でロックを演奏したのだ。そしてその快感から、一緒に演奏した6人で将来この道で食おうと誓い合った。今日はその記念日ということになる。その夢を大切に生きたおかげで今があり、逆にこの夢を描かなかったら僕は雑誌を作ったりこうして駄文を垂れ流すような仕事に就いていなかった。これは120%間違いない。そう考えるとあの日の仲間に深く感謝である。そして今日は大きな大きな記念日ということになるから、明日の浅草で祝うことにしよう(笑)。

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2件のコメント

  1. 人生の起点って、それに本人が気付いたかどうかは別にして確実にありますよね。
    自分はとある老舗バイク雑誌で、Hondaの創業35周年の軌跡を特集した記事でRC166という丁度昭和40年男が生まれた頃の6気筒250ccレーサーの本当に小さな白黒写真を見た時ですね。
    本当に身体にビビビッて電気が走る衝撃を覚えたのを今でも鮮明に覚えています…。20000rpm回る真紅のモノコックボディの大量生産可能なスーパーバイクを開発する!…という夢はとっくの昔に破れたもの、あの瞬間があったから今の自分があるのは間違いないです。
    もし叔父さんがもう読み終わったからとあの雑誌を私にくれなかったなら…そう考えると、本当にほんの少し歯車が噛み違えただけで全く違う人生にのっかる危うさに、ちょっと身震いしてしまいますね…。

    …あ、5年の駐在任期をプラス半年延長した上で無事に日本人に戻りました。住民登録も終えてまたいつでもライダーに戻れる身体になったので、後は早く色んな勘を取り戻して普通の生活に戻りたいと思います。

    • お帰りなさい。ライダー復活をぜひエンジョイしてください。

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