おら、雑誌が好きだーっ!!

いきなりの脱線で恐縮ながら、去年の実家を失ってたくさんのお宝が我が家に届けられた。と言っても、多くは葬り去られてしまい、大切にしていたカットテープやLPの帯、唯一といっていいコンテストで獲ったベストヴォーカルの表彰状などはない。そんな中で、雑誌はキチンと保管してくれていた。その中にあったこの1冊によって鮮やかに記憶が蘇り、加えて元気になった。

 

高校を卒業する時にバンドで身を立てようと誓った仲間が5人いた。中学から組んできたバンドがメンバーチェンジを繰り返して至った最良のカタチだと燃えていた。ライブハウスのレギュラーも3つ持ち、それぞれで定期的にブッキングしていた。が、若さとはそうそう思い通りにはいかない。最初に離脱したのがドラマーだった。涙で別れてさてどうしようとメンバーを探したもののしばらくうまくいかなかった。そんな中で僕がドラムを叩くことになったのだ。そこですがったのが雑誌なのだ。

 

フーッ、長い前置きだった。当時、専門性の高い情報収拾は書店に行くことが最も手っ取り早く、かつ、ベストな選択だった。少し大きめの書店に行けば、音楽にまつわる雑誌と書籍は目移りするほどある。その中で選んだのがこの1冊だったのだ。800円は少々高いが、付録にソノシートが付いていてパーフェクト・ドラム・セミナーという企画と連動している。そして驚くことに、『昭和40年男』がほぼそうしている148ページの構成の中で、カラーは16ページプラス表紙周りだけなのだ。ちなみに『昭和40年男』はオールカラーだぜ、エッヘン。でも、中身の充実ぶりは凄まじく、懐かしくて開いただけだったのにしばらく釘付けになって読み込んだ。

 

メディアと嗜好の多様化で、相対的に雑誌の力は衰えている。これは否めないが、ここまでしっかり作っている雑誌は昨今少ないように思える。これは?と手にとってパラパラとめくるとガッカリすることも少なくない(もちろんいい雑誌もたくさんある)。読者離れだけでなく、広告奪取も困難になっている影響から予算の問題などが大きくのしかかるが、この『リズム&ドラムマガジン』の時代に比べたら、カラーで作ることのコストは信じられないほど軽減されている。…とか、色々と恩恵もあるのだ。そして何より、この1冊が放出している熱量はコストの問題だけでない。

 

表紙に注目してみよう。早くに天国へ旅立った樋口宗孝さんで、好きな方にはたまらないだろう。我々世代だとレイジーで活躍したデイビーで、のちにラウドネスを牽引して一時代を築いた方だ。この号は昭和59年発行だから、まさしくラウドネスでバリバリの頃だろう。こうして記憶や歴史をよみがえらせてくれる雑誌っていいな。やっぱりおら、雑誌が好きだーっ!!

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