昭和53年と55年の年の瀬。

中1の冬、暮れのことだった。洋楽にハマった僕は情報を求めて書店で雑誌をめくっていた。その時に出会った雑誌が、発売されたばかりの『ミュージック・ライフ』1月号だった。この雑誌との出会いによって雑誌の素晴らしさを知り、毎月発売日になると書店に駆け込んで買い求め続けた。

 

時は流れて中3の冬のことだ。友人がすげー雑誌を見つけたと教室に持ち込んだのが『ギター・マガジン』の創刊号、12月号だった。渡辺香津美さんを表紙に使ったインテリジェントな雑誌で、音楽理論なども掲載したギター教則誌の決定版だった。それまで何度か購入したことがある『ヤング・ギター』とは全く異なる大人な内容で、ギターだけでなくベースにも取り組んでいて、リズムの考え方などもこの雑誌で教わった。何より、雑誌が人生にまで影響を及ぼすことを知ったのだ。この雑誌のおかげでそれまで以上にギターを弾くことにはまり、50歳を過ぎた今もそいつを毎日のようにいじっているのだから。

 

当時僕を虜にした『ミュージック・ライフ』の編集長、東郷かおる子さんとは『昭和40年男』の50号目となる記念号にご登場いただき、その取材には行けなかったものの僕は歓喜した。そしてさらに、つい先日のチープ・トリックの来日公演の時にバックヤードにご招待いただき、その際にご挨拶させていただいたのだ。と、なんとも人生ってのはおもしろく出来ているなと思ってしまう。そして『ギター・マガジン』の編集長、川俣 隆さんとは人の紹介でずいぶんと長いこと一緒に仕事をさせていただいた。バンドまでご一緒したのだから、これまた人生ってのはラララである。

 

でもこれは、偶然というよりも僕が同じ世界にしつこくいることが大きいのかもしれない。彼らによって、音楽、ギター、そして雑誌好きにさせられて、そのまんま今の人生になっている。ガキを憧れさせた大先輩たちの後を追った結果、どこかでご一緒できるのは偶然というより運命なのかなと。なんてことを考えながら、今は天国に旅立ってしまった川俣さんが38年前の暮れに作った『ギター・マガジン』1月号からほとばしるエネルギーを感じていると、なんだか泣けてきた年の瀬である。
 

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