【S40News!】最高齢監督が放つ映画『一枚のハガキ』 。

(c)2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

戦争で家族を失った男女を描く映画『一枚のハガキ』が8月6日より全国の映画館で公開される。

太平洋戦争について、今やその体験を語れる人が少なくなってきてしまった。本誌でもその体験談を少しでも残そうと、『俺たちが知らない遠い夏』を連載しているが、なんと99歳という日本最高齢の現役映画監督・新藤兼人が、自らの戦争体験に基づいた映画作品を制作したというのでぜひ紹介したい。監督が映画人生最後の作品として放つ本作品は、監督の実体験に基づき、戦争で家族を失った男女の姿を映し出したもので、豊川悦司、大竹しのぶといった歴代の新藤作品に出演した豪華俳優陣が迫真の演技で挑んだ大作とのこと。

舞台は戦争末期。召集された100人の中年兵のうち、宝塚への赴任が決まった松山啓太(豊川悦司)は、フィリピンへの赴任が決まった仲間の兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚のハガキを手渡される。検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、啓太に、「もし生き残ったら家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれ」と依頼する。戦争が終わり、生き残った啓太が故郷に帰るも、待っている者は誰もいない。啓太が戦死したという噂が流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親が、啓太が生きて帰ってくるとわかり二人で出奔したのだ。生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太は、荷物の中に定造から託されたハガキを見つける。一方、夫を亡くした友子は、村の習わしで次男と結婚することのなり、他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、定造の家族と生きていくことを選択する。しかし、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死し、舅と姑も立て続けに死に、ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。生き残ったことに罪悪感を感じる啓太と、家族も女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。戦争に翻弄されたすべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは…。

戦争を知らない我々、子どもたちと一緒に観に行きたい作品だ。

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