REOスピードワゴンの甘さはどうよ?

あそれっ、締め切りだ、締め切りだ。そして終わればすぐに次号の制作が始まる。さらに前号の特集がパッケージされたコンピレーションアルバムの発売もいよいよ迫ってきた。CDも雑誌と同じで、ひとつのプロダクトを生み出すってのはうれしいものだ。同世代諸氏に喜んでいただけるといいのだが。

 

これまでも解説してきた『昭和洋楽』は、頭から4分割してテーマを定めた。『ダンシングシスター』や『マイ・シャローナ』など5曲で構成した“昭和の王道ゾーン”に始まり、『宇宙のファンタジー』『ハロー・ミスター・モンキー』などを収めた“昭和のディスコゾーン”へと続く。そして今回のコンピ作りにおいて、強い色を放つ役割を持たせた“百花繚乱ゾーン”へと突入させた。スーパートランプの『ブレックファースト・イン・アメリカ』ガールの『ハリウッド・ティーズ』ときて、これも絶対に入れたかった昭和ソング、REOスピードワゴンの『キープ・オン・ラビング・ユー』へとつないだ。

 

 

この曲を友人から聞かされたのは高2のことで、僕の嗜好は黒っぽい音楽に移行中だった。ポップなテイストよりも、いなたい感じ・硬派な曲を好むようになっていた。甘い曲が嫌いなわけじゃないのだが、そっちにいってしまうと、なんといったらいいか堕落してしまうような妙な気持ちだった。その代表的な曲が『キープ・オン・ラビング・ユー』だ。だってさ、曲名からしてスウィートじゃない。そしてメロディもアレンジもヴォーカルの声もぜ~んぶスウィート。ダイエットでケーキを絶っているところに、突然箱が届けられて開けたらおいしそうなショートケーキだった(そんなのシチュエーションあるか?)てな感じ(?)の曲だ。聴かせてくれた彼に「こういうポップスは好みじゃないよ」と言ったのは、ダイエット中…じゃなかった、移行中だったからだ。1発で覚えたその曲だったが追いかけなかった僕で、こういうのをやせ我慢と言うのだろう。

 


35年以上の時を経て今、聴かせてくれた彼、山本に感謝している。今回のコンピにマストだと思ったのはあの日があったからだ。

 

この曲に続けて入れたのは、テクノポップをぶっ壊してしまったと僕が位置付けているMの『ポップ・ミューヂック』だ。クラフトワークとかディーボ、国内でもYMOなんかが、シンセと前衛的なセンスを引っ提げて登場してきた。やることなすこと意味深で未来的だった。そんな音楽をシーンはテクノとくくった。そこによりによってポップソングを投げ込んでしまったのがMだ。この曲によってテクノはピコピコさせればいいもので、前衛でなくてもOKなんだと敷居が下げられ、イモ欽トリオ『ハイスクールララバイ』へとつながり、その歴史に終止符が打たれたのである(笑)。という、歴史的転換を成し遂げた『ポップ・ミューヂック』は『昭和洋楽』にふさわしい曲だ。

 

このゾーンのラストを飾ったのが『サイキック・マジック』で、このグループこそ『昭和洋楽』極まれりだ。グループ名のG.I.オレンジは「???」となる同世代諸氏が多いかもしれないが、曲は絶対に知っているはず。極まれりとしたのはこのグループは日本製なのだ。クイーンやチープ・トリックなど、日本から人気が出たバンドこそあれ、まさか作っちゃうとは恐るべし。テレビ番組タイアップにまで持ちこんで売ったこの曲が『百花繚乱ゾーン』を締めくくる!!

 

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