肉食系女子と老舗そば屋。

昨日今日は重いコートを脱いで、ジャケットで過ごせる東京である。こんな陽気に誘われて冷たいそばが食いたくなり、いつものそば屋でつけとろそばを注文した。高級そば店のようなお値段ではないが、この写真で大盛りというのは随分とお上品で、量的なコスパはよろしくない。味と江戸から続く風情で満足できるそば屋なのだ。

今日は僕の後ろの席で、3人の女の子が酒を呑みながら盛り上がっていた。そば屋の昼呑みってのはなんともうらやましい。きっと観光でこの街に来たのだろう。酒のせいもあってかおもしろい話をしていた。テーマはズバリ男である。聞き耳を立てたわけじゃないが、大きな声なものだから否が応にも耳に入る。主役となっている子はどうやら現在彼氏がおらず、恋をしたがっている言葉が次々に出て焦っている感じがひしひしと伝わってくる。「お嬢さん、僕はいかがですか?」なんて高田純次さんだったら言うだろうなあ。

そばをすすりながら聞こえてくる話はだんだんエスカレートしていき、昭和のおっさんにはちょっとつらくなってくる。男の価値基準があまりにもストレートで高く、そんなに望まれても無理だよなんて思ってしまう。噂の肉食系女子ってのはこういう子なのかなんて考えながら妄想が膨らみ、大好物に集中できなかった。

食い終わって席を立ち、声の主を確認するとそれは清楚なお嬢さんじゃないの。うーむ、昭和のおっさんにはちょいとばかり刺激が強かった。江戸の風情も今日はまったく感じることができず、やや奮発のそば屋なのにちょっぴり損をした気分のランチだった。

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