やせ我慢するキレンジャー。

日本人はみんなキレンジャーだと言っていいほどカレー好きは多く、このキレンジャー大国にあっても僕はトップクラスのキレンジャーである。そんな僕をうならせる一杯のカレーを食わせる店が我が社の近所にある。この素晴らしいPOPで客を誘う店で、本来は格安もつ焼き店だ。夜の営業には行ったことがないが、店内の張り紙には目を疑うようなる値段が踊っている。痛風にビビるおっさんでなければ、この店は僕を昼も夜も喜ばせてくれることだろう。

POPにあるネパール母さんのカレー屋とホルモン焼き店の関係はいかがなものなのかいずれ解明せねばならぬが、おそらくスタッフ交代制で二毛作店舗なのではないかと睨んでいる。それにしてもこの写真でずいぶん損をしている。トップクラスのキレンジャーだからこの写真でも手を出すが、トレンディな若者やキレイなOLさんらは完全無視だろう。店内には僕ら世代のキレンジャー達が圧倒的に多く、みなさんひたすらかっこんでいる姿は暑苦しさを超えて清々しいと思えるほどだ。

メニューは写真の普通盛りと大盛り小盛りの3種類のみ。体重が気になる僕は座るなり「普通」と言う。並盛りでなく普通というのがこの店の流儀だ。氷がたっぷり入ったジョッキ水が出てきて待つ事ほんのわずかでネパールへと旅立てる。牛すじの煮え具合が日によって異なるいい加減さが僕のような達人にはたまらない要素で、少々硬くても文句を言ってはならない。ともかくうまい。興味がある方は浜松町大門の交差点から増上寺の方へと歩いてくれ。その参道の右側を見ながら歩いていればこのPOPが見つかるはずだ。見つかったら奥へと行けばパラダイス、いやネパールがある。健闘を祈る。

この店は頼むとルーを追加してくれる。が、なんとなくそれははしたない気がしてしまう昭和のおっさんである。バランスを考えながらルーの追加を頼まず上手に美味しく食べ終えるのが店への礼儀、いや、やせ我慢てもんだ。昭和なおっさん達は僕同様に、そんな無粋なこたあできねえぞとばかりにやせ我慢をしている。先日、いつものようにおっさんでほぼいっぱいになって店内に30代中盤くらいのグルメ風な男が入ってきて、カレーが届くなり言った。「あっ、ルー追加」と。おっさん達の表情や動きに変化があったが、ほんの一瞬後には平静を装い、もちろんそのセリフを言わずに会計するのであった。そば好きの江戸っ子が明日をも知れぬ身となり、たった1度でいいからそばにつゆをつけて食いたいなんてオチの小話があるが、まさにそんな気分である。「ルー追加」といつか言ってみたい。

    

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2件のコメント

    • 土日はわからないです。今度行ったときに聞いてきます。
      我々世代は言えない派の方が多いですよね。

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