勝海舟のように。

「絶景かな、絶景かな」と、石川五右衛門な気分の昨日の午後だった。クライアントのオフィスロビーからの素敵な眺望に思わずカシャっとした僕だ。

ここは江戸城の跡地で、まさしく東京のど真ん中だ。先日の大雪が残っているのも冒頭のセリフを手伝っているじゃないか。

想いが旅立っていくのは勝海舟と西郷隆盛の150年前の会見だ。この長いようで短い明治よりの時間の中で日本は大きく姿を変えた。司馬遼太郎作品『坂の上の雲』は、“まことに小さな国が、開花期を迎えようとしている。”で始まる。明治は国内紛争の火消しを終えると、富国強兵をスローガンに世界へと進出していき昭和20年に近代日本は終焉を迎えた。かのようだったが、スローガンを経済発展に変えて僕らが知る日本へと全力で駆け上がった。ここにも司馬さんの言葉があてはまるかのごとく、小さな国は開花期を迎えたのだ。しかしバブル崩壊で再び傷つき、震災による大被害と福島の問題を突きつけられ、人口減少と少子高齢化という停滞期を迎えてしまった。と、俯瞰すると150年の中でも大きなうねりの真っ只中にいることになる。

今の日本を見て、勝と西郷はどんな会見をするだろう。何事も真摯に受け止め、現代に頭を抱えている西郷に勝を気取って僕は言う。勝が残した言葉で「敵は多ければ多いほど面白いよ」と。幕府にいながらも広く日本と世界を見た勝にとって敵とは、時代の流れの中にある諸問題だったはずだ。そいつを敵という言葉でスケールを縮めて、こんなセリフを残したのだと僕は大好きな粋人に想いを馳せる。

と、そんなことを考えてニヤニヤしながら待っている僕の背後から、「お待たせしました」と美しい受付嬢が声をかけてくれた。そのニヤニヤを残したまま振りかえっしまった僕はさぞ気持ち悪かっただろう。まっ、ともかくネガティブな気分をぶっ飛ばして、江戸を大火から守った勝のようにしなやかに大胆に、そして粋にこの難局を笑い飛ばしたいものだ。

  

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4件のコメント

  1. 僕は勝海舟に憧れて、息子の名を「りんたろう」にした馬鹿野郎です!
    漢字は「麟太郎」じゃないんですけどね。
    親も書けないような字を子供につけちゃぁいけないと思いましてね^^

    • すばらしい!!
      藤好さんも勝ジャンキーなんですね。今年の大河では誰が演じるのでしょう? 勝の洒脱な感じを出して欲しいなあ。江戸城のくだりが今から楽しみです。

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