フライデーナイト牛丼。

忘年会のお誘いを4つも断って深夜まで続く作業にあたった一昨日だった。年々、暮れに積まれた仕事の山が高くなっていくのは幸せなことなんだと言い聞かせながら、賑わう浜松町で吉野家に入った。この時間にしては空いてる気がしてくるのは、今日が12月の金曜日だからだろう。「ふっ、みんな幸せなフライデーだぜ」なんてニヒルを気取りつつ、いつもの並と卵をオーダーした。最近では大盛りを完全に封印できるようになったおっさんである。

日本中で乾杯が繰り返される師走だ。15日と22日の金曜が、今年の忘年会のピークだろう。よかった人も悪かった人も年を忘れて呑む。いやいや、忘れるどころか振り返りながら称え合うのが忘年会だ。あの時ああしてこうしていればよかったなんて女々しい会話は男ならではで、女子はきっともっと前向きな忘年会をするのでしょう。男ってのは本当にダメな生き物で、そもそも忘年会なんて言葉をこよなく愛するのも男子だろう。

今年の仕事を仕上げる2週間になる。『昭和40年男』も1月11日発売だってのに今年中に印刷する。このデジタル社会になんのこっちゃと思うなかれ、紙の世界の恒例行事だ。うちの会社では奇数月は1日、6日、11日と発売が続く。この3冊が年内にすべて印刷を済まさなければならないのだから社内は騒然となる。それだけの作業のまるでご褒美のようにお正月を得るのだな。

敏速に運ばれてきた牛丼を頬張っていると、数名しかいない客が同士に思えてくる。皆さん荷物を持っておらず、僕同様会社に戻ってもう一仕事がんばるのだろう。中島みゆきさんの『狼になりたい』に出てくる、がんばって稼ぎなよなんて気分だ。あの曲のおかげで、吉野家ではついついナルシストになれたりする。師走の夜の吉野家なんて曲作ってくれないですかね、みゆきさん。

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