海老一染之助さんが旅立ってしまった。

年の瀬に悲しすぎる訃報である。

もうずいぶん昔の話のような、つい昨日のことのような『昭和40年男』の第8号、2011年の7月11日発売号でのこと。震災の傷は、東北の方々に言ったら失礼にも取れる話ながら東京でも深かった。照明の暗い閑散とした飲み屋で「こんな時こそ笑い飛ばそうと」無理していた頃だ。そこで思いついた企画が“今こそ笑え”である。特集の扉では、こんなくだりがある。

〜震災、政治、子育て、介護…。今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃございませんか。って、暗くなっちまった? バッカだなあ、俺たちには得意技があるじゃないか。笑いだよ。〜と。
さらにこのメッセージの締めは。
〜それじゃーみなさんご一緒に、ガハハ、ガハハ、ガハハのハ!!!〜

笑いに関するてんこ盛りの特集で、小松政夫さんのインタビューや、俺たち世代の笑いのルーツとして『8時だヨ! 全員集合』や『マカロニほうれん荘』などにも踏み込んでいる。この中で江戸から続く伝統の笑いとして、“海老一染之助さんに1日入門「いつもより…回っておりましぇーん!!」という、そのタイトルのまんま僕が弟子入りして回す技を習得するという企画を敢行した。結果、全く回すことができなかったが、師匠の笑いにかける情熱と正しさ、そしてたった1日だというのに不出来な弟子への接し方は、撮影中だってのに涙が止まらなくなる一幕があった。編集後記でもそのことを告白しているほどの感動だった。訃報を聞き、あの日を思い出しながらついさっきページを開くとまた泣けてしまった。

師匠は安らかに眠ることなく、あっちに行ってもきっといつもより多く回すことだろう。そう強く感じさせる、情熱の方だった。僕は師匠の教えを決して忘れません。ありがとうございました。

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4件のコメント

  1. 自分は仙台に住んでいますが、震災後は被災した人ほど、自粛よりも楽しいこと笑えることを求めていた気がします。
    僕ら世代には、染之助染太郎師匠はお正月のお約束でしたよね。「お~めでとう~ござ~いま~す!」という口調が今も頭に残っています。天国でも元気に笑っていて欲しいです!

  2. おめでとーーございまぁ〜す…という言葉が似合う芸人さんって、御二人以上は考えられない。伝統が途切れた感さえ漂います。寂しいですね。

  3. ありがとうございます。間違いなく天国で笑ってますよね。

  4. お正月にあの声を聞くのはなんとも言えない幸せでしたよね。

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