トキオはどこへ行く!?

トキオ、トキオ。イエロー・マジック・オーケストラとの出会いとなった『テクノポリス』は、未来都市東京を感じさせてくれた。僕の初接触はカセットテープのCMだったと記憶している。今になって考えると超アナログなメディアに先進的な音を組み合わせたということになり、このCM起用は間違っていたかもしれない。って、中坊の僕らにはカセットテープは未来永劫のメディアだと信じていたから、すんなり受け入れたのは当然である。

トキオといえば沢田研二さんもパッと浮かぶ。パラシュートを付けてスーパーシティと歌い上げた『TOKIO』にはYMOのような未来は感じなかったが、ガキながら楽しさ抜群の都市なんだと解釈した。どっちに先に触れたかは記憶が定かでないがリリースされたのは同じ頃だ。希望に満ちて膨張していく日本の首都は、クリエイターたちにとってきっと艶めかしく魅惑にあふれていたのだろう。『TOKIO』を書いた頃のスーパークリエイター、糸井重里さんの今は当時から考えるとちょっと不思議なくらいナチュラルだが、本人にとっちゃごくごく自然と今の立ち位置にいるのでしょうな。

そんな日本の膨張期をなんとなく肌で感じながら育った僕らだ。写真はお台場を走るゆりかもめの車窓から撮ったもので、通るたびに興奮させられる景観であり、『テクノポリス』と『TOKIO』が自分の中で鳴り出す。ガキの頃の僕らはこんな街になるなんて夢にも思っておらず、ハゼ釣りのポイントだった。きったねえ海で糸を垂らすガキどもをハゼは次々とかかって喜ばせる。家に持ち帰れば今度は親父もお袋も大喜びだ。が、あの汚染を無視してよく食ったものだなんてこれまた今だから思う。

前のオリンピックに合わせて完成した施設の老朽化に伴って、そして次のオリンピックに向かって東京は変化を加速させている。だが今の東京には当時の艶めかしい感じは減り、だいぶカドが取れた。目指しているのは成熟の都市だろう。あちこちで進む大型建築工事を眺めながら、トキオはカセットテープのようにならず未来永劫でありますようにと願っている。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で