ジャニス・ジョプリンが教えてくれた!!

「もっとも好きなギタリストは?」
「ヘンドリックスです」
「もっとも好きな女性シンガーは?」
「ジャニスです」

音楽を聴くことにもっとも多くの時間をつぎ込んでいた10代の頃。当時組んでいたバンドのベーシストのおかげで、中学時代からじつに広いジャンルの音楽に出会うことができた。聞いたことのないミュージシャンを発掘(と言ってもオールドロックばかりだが)しては僕に押し込んでいくる。負けないようにと僕も発掘しては彼に押し込む。ガキの意地の張り合いといえばいいか、まるで勝負するように洋楽をあさった。

高校2年の時にギタリストが加入した。僕ら2人と異なるベクトルのミュージシャンを発掘してくるから、ますます勝負は加熱した。2人のおかげで昭和40年男としてはあまり遭遇しない素晴らしいミュージシャンたちに出会えた。が、そのせいでオーティスやサム・クックなんて黒人のソウルシンガーにハマり、さらに彫り込んでいくとマディ・ウォーターズやジョン・リー・フッカー、ライトニン・ホプキンスなんて奴らに魂を持って行かれた。薬物中毒に例えたくなるような依存度で、僕は高校生にして廃人に追い込まれた。ただし、以前に彼らと過ごした音楽的な知的冒険を繰り返したおかげで、立ち直りは早かった(笑)。

IMG_5465そんな中で僕が発掘して彼らにも大絶賛されたのがジャニス・ジョプリンだ。60年台後半に彗星のように現れ、71年にリリースされた写真のアルバム『パール』のレコーディング中に逝ってしまった。ジミ・ヘッドリックスと並び、当時としては次元の違うところでロックしていた2人は、1970年にこの世を去った。学年で言えばタメ年同士で、偶然にしてはあまりにもストーリー性が高い。ロックの流れを変えちまった2人は、今聴いても時間を飛び越えて胸にぐさりと刺さり、いつでも自分の中にあるロックを激しく揺り動かしてくれる。

久しぶりに『パール』を聴いた。こいつを聴くときは高い集中力で聴きたいから頻繁にはかけない。10代のあの日「これすげーんだよ」と発掘した音楽は互いに一言も交わすことなく、やはり高い集中力で共有したっけ。聴き終えてそんなことを懐かしみ、真剣に取り組んだ日々といつも勝負に付き合ってくれた彼らに改めて感謝した。

さて冒頭の続きがある。「もっとも好きな男性シンガーは?」「内緒です」って、ごめんなさい。

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2件のコメント

  1. こいつを聴くときは高い集中力で聴きたいから頻繁にはかけない。

    この気持、わかるなぁ・・・。
    俺も好きだけど、たまにしか聞きません。

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