人が集うことのエネルギー。

僕にとって今年1発目となるバイクイベントの仕事をこなし、つい先ほど会社に戻った。今日のイベントは『カワサキ・コーヒー・ブレイク・ミーティング』と名乗っている文字通りカワサキのイベントで、1998年にスタートして毎年欠かさず全国各地で数回開催している。わざわざ時間をかけて走ることで否応無しに気持ちが盛り上がり、会場に到着すると共通の嗜好を持ったライダーが大勢いることで共感を楽しむ。バイク乗りってのはこれだけでうれしくなるのだ。いや、バイク乗りに限ったことない。

男の子は、とくに俺たち世代はモノ好きだ。中坊の頃なんか例えばオーディオメーカーでシンパシーを楽しんだりしたものだ。「プレイヤーは断然テクニクスだよ」「いやいや、ダイヤトーンでしょ」なんて生意気に徒党を組んで語っているけど、じつはハードを持っていなくて試聴や雑誌、カタログからの知識だったりした。ミズノとローリングスなんて争いはよく聞いたが、僕はそんな高いブランドに手が出ず横でSSKを手に聞いているだけだった。と、趣味にまつわるブランドは僕らのハートをいつも射抜いてきたのだ。

俺たち世代はバイクブームのど真ん中で青春時代を送った。憧れた男は多いだろうが、実際にバイクに跨がれた者は少数だろう。僕のイメージでは、高校時代にその憧れを実現したヤツは2割前後でなかろうか。よほど強い思いか家に金がなけりゃ跨がることはできなかった。そんな苦労を強いられる趣味だから、最初に乗ったバイクブランドへの愛をひとすじに持つ者は多い。ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーの中で、カワサキはとくに激しい愛を受け止めてきた。それぞれのメーカーにもヘビージャンキーはもちろんいるが、とにかく激しいのである。「俺、カワサキしか知らないんで」と自虐的に言いながら、その愛をひけらかすのは正しい。

そんなヘビージャンキーたちが、今日は2,000人ほど駆けつけた。会場は愛にあふれていてなんとも雰囲気がよろしい。それはそのまま笑顔になる。楽しそうな方々を多く見ることで互いに元気になり、それが連鎖していくからファンミーティングが人を呼び寄せるのだろう。なんの仕掛けもないこのイベントは、サービスといったらただコーヒーが置いてあるだけ。途中で僕とカワサキをサポートする女の子「KAZEギャル」のトークはあるものの、そんなもんは来場者にとってどうでもいいことで、主役は互いの愛なのだ。どんなに時代が変化してもリアルに集うことの価値は変わらない。変わらないどころか重要度は増している。気持ちよく過ごすためにルールを守り、互いを気遣う心がある。そこに快感を得るのは乾いた世の中の反作用でなかろうか。

イベント終了後にはできるだけ多くのライダーを会場出口で見送る。「次は大分で」なんて叫びながら通り過ぎるライダー、「ありがとう」と大きく手を振るライダー、恥ずかしそうに小さく頭を下げて走り去るライダー。そのすべてと繋がった気持ちになる。これだからイベント仕事はやめられないぜ。4月16日は大分へと乗り込む。そいつを利用して『福岡博多基地』を仕込んでいるちゃっかり野郎である(笑)。

携帯で撮影したもので両サイドが切れているのは申し訳ない。6月1日発売のカワサキバイクマガジンにキチンとしたのを掲載します
携帯で撮影したもので両サイドが切れているのは申し訳ない。6月1日発売のカワサキバイクマガジンにキチンとしたのを掲載します

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2件のコメント

  1. いつも楽しいイベントに仕上げていただきありがとうございます。
    今回、新潟からツーリング仲間と3台で関越道自走して参加いたしました。
    こんな時期に自走していく馬鹿者は自分らだけだろうと思っていたのですが
    なんと他にもカワサキ乗りのグループが1組いらして、行きも帰りも休憩ごとにバッタリ出会うという(笑)
    朝は初対面だったのに、まるで極寒のツーリングを共に戦い抜いた戦友のような気分で気持ちよく帰宅しました。
    やっぱりバイク(特にカワサキ車)ってイイっすね(^^)
    忘れられないKCBMになりました。

    • 返信遅れてスミマセン。うれしいコメントありがとうございます。
      仕上げているつもりはないです。いいライダーの集いだからこそ、自然といい輪が出来上がる感じがステキだと思ってます。またぜひお越しください。

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