昭和のそば屋の隠し味。

img_4278「仕事はいつまで」

「30日までです。ここはいつまでですか」

「29日までよ。年内にもう一度会いにきてね」
昨日のこと。行きつけのそば屋でのおばちゃんとのやりとりだ。もう一度とは言われたものの今年最後になるだろうなと選んだメニューは鳥南蛮だった。鳥とネギとカツオ出汁はなんでこんなに相性がいいんだろうと、いつもうなる一杯だ。

昼メシはそばがかなりの率で占めた1年だった。というか、ここ10年ほどそうかもしれない。そして今年もこの店には大変世話になった。今の事務所に引っ越してきてもうすぐ10年で、以来ここが常そば屋(!?)として通うようになった。以前の事務所があった赤坂でも、普通にうまい昭和のそば屋を常そば屋にして、おばちゃんによく声をかけていただいたものだ。

冒頭の会話とは別のおばちゃんがうまそうな鳥南蛮を運んできた。テーブルに置きながら「30日まで仕事なの、大変ねぇ」と声をかけてくれる。こんなコミュニケーションも昭和のそば屋の隠し味で、たったひと言が胸に響き渡るときがある。「いやいや、そんなことないですよ」と言いながら箸を割る僕だ。相変わらず“普通”にうまいそばを満喫して席をたち、帰り際に「よいお年を」と言わなかったのは「もう一度会いにきてね」がお茶目だったからで、薄い可能性を狙ってみようかと思ったからだ。おばちゃんたちの元気な「ありがとうございました」に送られ、いつものように店を出たのだった。

   

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