コートの季節。

img_4078東京荒川区に住んでいた幼少の僕にとって、11月のお楽しみは浅草で行なわれる酉の市だった。酉の日に開催されるから年によっては三の酉まであったりする。今年は11日と23日で、金曜日と祭日だから双方さぞ賑わうことだろう。電器屋だった我が家は、商売繁盛の祈願に家族全員で出かける行事だった。ここで親父は毎年のように「母さん、コートを出してくれ」と言う。これが子供心になんともカッコよかった。ところがここ近年は11月にコートを出すことなんかなかったが、なんと今日は酉の市を前に早々コイツを着込んだのである。

最近の情報番組は天気予報がキラーコンテンツのごとく騒々しい。今朝はあたたかくしろと叫び続けていて、これにのったかっこうで羽織った。それまでダウンジャケットに甘えていたが、ダンディじゃないなと一昨年のバーゲンで60%オフになったのを手に入れた。3年目に突入しても大のお気に入りで、そこそこダンディだと自負している(笑)。これと最近凝っているストールを合わすとますますダンディで、今日はこの組み合わせでキメたのだ。

おっさんにはそれなりの努力が必要だ。『昭和40年男』で以前インタビューした毒蝮三太夫さんが「誰だって歳とりゃ、小汚くなるよ。だからまずは外見に気を使うのが大事」「歳をとると、自分がどう見られるかってことに無頓着になる」と語っていたことにずいぶんと影響された。そのとおりだと手を叩き、以来チャレンジングなシャツやパンツ、ストールまで手を出すようになった。ただの派手好きなおっさんと、女の子たちには避けられているかもしれないが。

今年の酉の市はこのコートをバシッとキメて出かけるとするか。ここ近年はカッコよかった親父のセリフにピントが合わない11月だった。寒いのはありがたくないが、四季はじっくりと楽しみたい。

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