「孤独のメッセージ」はややウケ!?

真空管アンプでアナログレコードを聴かせるバーを見つけて、先日久しぶりに出かけた。訪れる客は同世代ばかりで、目を輝かせていない者は一人としていない(笑)。会話を楽しめる程度の音量に抑えてあるものの音圧が高くて迫力を感じる。どこまでも心地よい音と酒でのんびりと酔えるおっさんのパラダイスだ。客層はまさしく『昭和40年男』読者とシンクロしていて、前後5歳くらいは楽しんでいただける雑誌だと思っているそのまんまで、若干異なるのは年上男の方がやや多いことだろう。そして他のバーと大きく異なるのは男性同士の客が圧倒的に多い。バーのくせに女の子を口説くのには適さないのは、やはりおっさんパラダイスだからだ。

一つ楽しい遊びがある。この客層に強く “効く” 曲をリクエストすることだ。ソウルバーなんかも同様かもしれないが、ここはなんといっても客層の絞り込みがハンパでない。なんてったって『昭和40年男』の読者層だ。そこをターゲットにして、会話を止めてざわめきを起こせば勝利という遊びだ。

初めてここに入ったときにアバの『ダンシング・クイーン』がかかった時が見事だった。満席だった店の空気がガラリと変わり、我々も4人で楽しんでいた会話を止めて、爆笑しながら曲に聴き入った。逆に、そりゃないだろという選択をしてしまう者も少なくない。ただ、その日によってトレンドが微妙に変わるのはおもしろい。ある日入店したらツェッペリンの「天国への階段」がかかっていて、その後もポップスにまぎれてレインボーが入ったりした。何組かのハードロックファングループによる仕業だろう。ならばと僕はマイケル・シェンカー・グループの「アームド・アンド・レディ」を仕掛けた。するといくつかのグループにバカウケだった。

真空管さて先日、僕は写真のアルバムに収録された「孤独のメッセージ」を仕掛けた。微妙ながら空気が動いたのはうれしかった。というのも、こんなカッチョよくてカタイ曲がヒットチューンだった時代をリアルタイムで生きた僕らで、それを再確認しようとのリクエストだった。バカウケではなかったがややウケ程度は十分にもらえた。スイートな曲、オシャレな曲、ダンサブルな曲… などなどがまるでカテゴライズされていくようなシーンを体感しながらティーンズを過ごした。そんなアンテナが高い (!?) 時代を生きたことが、この曲によって証明できた。って、ちょっと大げさかな。
 

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