鈴鹿サーキット、昭和40年男の涙!!

わかったぞ!! 最近すっかり涙もろくなったという貴兄に朗報だ。おっさん化して涙腺が弱くなったんじゃない。いろんなことへの理解度が増して、心に深く響くようになっただけだ。今こそあの歌を思い出せ。涙は心の汗さ〜♪

では、ちょっと前ふりから。ウチの会社はバイク関連の仕事も多くこなしている。バイクイベントもそのひとつで、今年25歳(半分じゃ)のプロレーサーとのトークショーがレギュラーコンテンツになっているイベントもある。初仕事は一昨年の夏だった。2013年よりカワサキとの契約を勝ち取った渡辺一樹選手だ。国内でレース活動をする者にとって、国内4メーカーと契約できるのは合わせてもほんの数個の椅子しかない。そのひとつを当時22歳の若さで取った…、わりにはおっとりしているなというのが第一印象だった。その後メキメキと力を付け、今年は2人体制のカワサキにとってエースと呼ぶにふさわしい存在となった。

日本最高峰クラスのJSB1000にエントリーしている。昨日は今年の最終戦で、特別に2レースが行なわれた。昨日朝の時点でたった1ポイント差の3位を追う立場で、1位2位はよっぽどのアクシデントがなければ狙えない程の差がついていた。そして迎えた第1レースで渡辺選手は表彰台は逃したものの、ランキング3位の選手より1つ前の4位で入り、逆に1ポイントながらリードして最後のレースを迎えることになった。

15周で行なわれたレースは、9周目のラップ中にトップ争い外の車両アクシデントで中断となってしまった。ライバルが3位で渡辺選手がそのすぐ後ろにいて、レースが成立してしまうと1ポイントひっくり返される。後ろといっても、レース中盤の彼の追い上げにより、3台で形成していたトップ集団に追いつきおもしろくなった矢先の中断だったのだ。プレスルームでは、2/3近くは周回したのだから成立じゃないかとの見方をする者もいた。やきもきしながら発表を待っていると、残り7周で再スタートになった。「よかった〜」と胸を撫で下ろし、俄然応援に力が入った。そう、僕はプレスとして仕事をする一方で、仲間のおっさんになっていた。ある意味失格かもしれんが、だがこの状況で冷静でいられるヤツなんか表現の仕事をやめちまえと開き直った(笑)。

再スタートのグリッドは中断時点の順位どおりで、4位の渡辺選手はセカンドローからだ。もうこうなったらターゲットは、フロントローの第3グリッドたった1台である。スタート!! 第1コーナーまでの時間がとてつもなく長く感じた。短い7周のレースでスタートの失敗は許されない。長い中断があったのだから集中力の勝負になる。ものすごく大事なホールショット(スタート後の第1コーナートップ)は、「よっしゃ、一樹だっ!!」と僕は叫んだ。ここ1番のメンタル勝負に競り勝ったことが僕の胸を熱くした。この後順位は下げたものの3位の表彰台を奪い取り、見事年間ランキング3位に輝いた。

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IMG_5877レース前のピットで「記者席で待ってるぞ」と声をかけると「ええ、待っててください」と逞しく返ってきた。というのも、表彰台に上ったライダーはレース後に記者会見があるのだ。僕は3位のライダーが座る1番前に陣取って彼を待った。質問に答えている彼の姿を、おっさんはただただ笑顔で眺めていたのだった。

いやあ、それにしても心の汗をたっぷりかいた。つきあいの中から感じたこと、彼の葛藤やそこから這い上がる男の強さなどなど、いろんな角度で接したつもりだ。そして“レース”とも深く付き合った結果が大量の汗になっちまったのさ。そう、決して涙もろくなったわけじゃない。同感でしょ、タメ年のみなさん!!

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2件のコメント

  1. 津田選手のヨシムラカラー、中須賀選手のイエロー&スピードブロック、そして渡辺選手のライムグリーンと、皆さん伝統背負いまくりですなぁ(^o^)
    カッコいい

    • さすがca-niさん。まるでバイク雑誌のブログに寄せていただいたようなコメントですね。
      まさに、現在のサーキットはおっさんのパラダイスです。そこで僕は若者を呼び寄せることに必死なんですよ。

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