俺たち世代にはたまらない、昭和の名店をご紹介。

ねぎセイロ

ローカルネタで恐縮だが、そばと昭和が大好きな僕のお気に入りのそば屋をご紹介したい。以前にも軽~くふれたことがあったが、その時は写真を公開できなかった。若者たちは注文の品が届くと堂々パチリとやっているが、どうも僕にはそれができず、よっぽどの理由がなければ撮れない。そのよっぽどの理由とはこのブログで紹介すること以外になく、先日はその使命感でパチリとやってきた。

翁庵東京上野の知る人ぞ知る老舗そば屋の『翁庵』で、昭和40年男が若輩者になれるステキな客層がいい。そんな人生の先輩方の8割くらいがこの『ねぎせいろ』をオーダーする。僕はかれこれ20年近くお世話になっていて、コイツ以外を頼むのはふたつ食べたいときのみ。つまりここに来て『ねぎせいろ』を頼まなかったことは過去に1度もない。ご覧のとおりネギがたっぷり入っているあたたかい汁で供される。そしてイカがゴロゴロとしたかき揚げが汁の中に入っているのだ。イカのかき揚げせいろとしないところに、なんとも奥ゆかしさを感じるのは僕だけだろうか? 写真は大盛り900円と決してお安くはないが、自信を持ってオススメできる。うるさいことはいわず、シャキッとした細めのそばをたっぷりの汁に浸してズルッといってほしい。

お客さんだけでなく、ホールを飛び回っているおばちゃんもみなさん歳上だろう。厨房を見ても同様に、高齢化は否めないがうまいものを出しているのだから逞しいばかりだ。威勢のいい声が響き渡る店内は居心地いいったらない。残念ながら日祭日はお休みだが、近くにお寄りの際はぜひ立ち寄ることをオススメする。グルメ本の登場は少なく、グルメサイトでもさほど評判でないのが不思議だが、かえって常連の高齢者ばかりで居心地がよい。

先日は「胃が悪くてそばが食えなくなったよ」なんて苦笑いしながらきしめんをオーダーするファンがいたり、そんな微笑ましい時間が過ごせる。ビールでも引っ掛けたいなんて通な旦那は、午後2時過ぎくらいまで見逃してあげてください。昼時は客がひっきりなしで、おばちゃんたちも大忙しだから落ち着かないはずだ。昼のピーク時を外せば、ビールに油揚げなんてつまみでゆったりとテレビを眺めながら極上の時間を過ごせる。そしてビールが空いたら満を持してこう叫べ。「大ねぎセイロ、1つください」と。きっと至福の瞬間が訪れることだろう。

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