『昭和40年男』的10大ニュース 〜第2位〜

暮れということで、今年の10大ニュースで〜す。
あくまで僕個人が、今年一年間の本誌編集作業を通じて出会った事件(?)を不定期に連載しているぞ。
いよいよ残すところあと2つ!!。いっくぞー、それでは第2位。ドゥルドゥルドゥル〜、じゃん。
「北の大地を駆け抜けた。つんざけ極寒の暴風雨!!」

編集長が誌面に出る。
第7位で触れた“あそこの編集長バカだから相手しない方がいいよ”作戦である。
船舶免許を取得するという企画はロマンがあり、また夏の提案としてもグッドである。
だが、1本ではなんとなく弱いのと、ちょっと僕のキャラから考えるとカッコよすぎる。
つうことで、編集会議を重ねた結果出てきた企画がチャリンコの旅である。
北の大地を駆け抜ける。旭川空港から宗谷岬を目指すと
地図上の距離で340kmくらいだから素人にもちょうどいいだろうとなった。
ロケに割けるのが3日間なので、設定としてもなんとかなりそうだ。Goとなった。

この決定が、結果的にはかなり舐めていたということになる。
副編集長の小笠原からチャリを借りたはいいが、結局リハーサルで走ることが
できずじまいで旅の朝を迎えた。旭川空港に到着してバラバラになったチャリを
組み立てるところから難航し、なんとか走り出すとサドルがあっていなかったのか
ケツの痛みに耐えながらの、なんだか苦行のような旅になってしまった。
あんなに切ないケツの痛みは初めて経験したよ。
舐めていたというより、もう編集部にはめられたとさえ思いながら走り続けたのだった。

さらに最終日はまさに暴風雨のうえ極寒で、夏の企画として成立はしていないと思う。
だが、夏の男の子は挑戦するものなのだと、自分を無理くり納得させながら走り続けたのだ。
月日は流れたが、思い出せばすぐにあのつらさが甦る。向かい風にさらされて、
容赦ない雨にたたきつけられ、大型トラックに水と空気の塊をぶつけられながら進んだ。
自分が、なんのためになにをしているのかわからなくなる瞬間、
わけのわからぬ思考に陥る経験までした。冷え切った手足は旅を終えても
数日しびれたままで、ケツの鈍痛とともに体に残ったのだった。


でもね、宗谷岬に着いたときは感激だったよ。途中でやめることは、
仕事である以上絶対に許されないから。プライベートだったら絶対にたどり着けなかったであろう
ゴール地点まで、ただただペダルを漕いだ3日間は今年の第2位にふさわしい。
やり遂げて食ったあったかいラーメンがうまかったな。
苦しんだ分だけ、同じくらいの量の“なにか”を得られるものである。
なんでも一緒だよね。歯を食いしばらないヤツに幸せは来ない。
嘘ばっかりついて適当にごまかしているヤツに、いい友なんかできない。
そんな単純なことを再確認したのだった。

本文でこんなことを書いている。
旅はいいなあ。
今回の旅では、自分の存在を命というレベルまで戻して考えられた。
ちっぽけでなんの力も持っていない自分に会わせてくれた。
バカな俺はたまに調子に乗る。錯覚もする。
旅はそれらをリセットしてくれ、素っ裸にひんむいてくれるのだ。
それがたまらなくいい。

ホント、極限状態がこんな気持ちへと導いてくれたのだ。
つらかったものの、すばらしい経験の第2位でした。

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