昭和40年男にとってのオヤジさん、師匠、兄貴分、ダチ、そして弟分。

素晴らしい年上の方との出会いに、僕は恵まれているなと常々思う。タイトルにしたオヤジさんに師匠、兄貴分にあたる方々だ。オヤジさんとは当然ながら父親や義父ではなく、そう呼べる“なにか”を持った男である。初めてそんな存在だと思ったのが、17歳の時から始めたバイト先の料理長だった。とにかく厳しい人で、入店初日に濡れ雑巾を顔面に思いっきり投げつけられた。その後も怒鳴られっ放しながら食らいついていくと、徐々にかわいがってくれるようになり、料理についてのいろんな知識を教えてくれた。そこには人間として仕事と向かい合う姿勢や、男の心みたいなものがたくさん入っていて、料理を通じて人生を教えてくれたのだった。

キヨさん先日行なった海岸清掃イベントにゲストで来てくれたミスターカワサキと呼ばれた男、清原明彦さんも僕にとってはかけがいのないオヤジさんだ。みんな親しみを持ってキヨさんと呼ぶ男の人生は、開発ライダーとして、そしてレーサーとしてカワサキに大きく貢献した。もしも彼がいなかったら、バイクの進化や歴史が変わっていただろう、偉大な人物である。前述の料理長同様、仕事を通じて人生を教えてくれる人で、何度か強く叱られたこともある。ありがたいことにバイク関連のイベントでご一緒させていただくことが多く、その度にいろんな説教から成長させてもらっているのだ。

師匠、兄貴分と呼べる方々も、オヤジさんと同様の尊敬に値する方々で、どうやら僕は年齢でその呼び方を使い分けている。およそ20歳以上の年の差だとオヤジさん。そこから10年くらい下のベルトが師匠。さらに下のベルトが兄貴分だ。なにも仕事ばかりじゃないい。遊びや生き様で尊敬に値する方も多くいて、『昭和40年男』の読者ミーティング『浅草秘密基地』の舞台となっているショットバー『FIGARO』のマスターは、本人には恥ずかしくて言えないが尊敬に値するまさしく兄貴分だ。

下品ながらダチ。これも最近つくづく思うのは、尊敬の念を抱ける同世代がそう呼べるヤツらだ。もちろん仕事だけじゃない。人柄だったり、生き様だったり、やさしさだったり。読者ミーティングを通じて知り合い、そんな呼び方が出来るまでになったヤツもいるのはありがたいことだ。

秋吉さて、問題なのは弟分だ。これはなかなか難しく、先日の海岸清掃イベントのトークショーで展開した、レース現場の話にも出た。キヨさんの出演では、彼より約30歳下のホンダのレーサー、秋吉さんと僕との3人でやってみた。極めて大雑把に言うと、日本のレーサーのファーストジェネレーションとセカンドジェネレーションの、それぞれトップクラスの存在である。そして秋吉さんは、現在39歳にしてなお、日本のトップライダーの1人だろう。話を進めていくと、次世代の若いライダーたちが自分を追い越していかないことがまずいと、秋吉さんが問題提起した。そしてそれは、自分たちの世代のライダーがイカンのだと言う。秋吉さんによると、清原さんのような強くて怖い先輩が自分たちの世代にはいたが、今のサードジェネレーションと呼べるレーサーたちにはいない。勝つ精神を厳しく指導することが現在のレースシーンに無くなってしまったから、気持ちの強いレーサーが育たないのだとの言葉を絞り出したのだった。

これは今の日本の仕事現場にも蔓延している空気じゃなかろうか。やさしい先輩はいくらでもいる。話を聞いて頷きながら励ましてくれる。だが、濡れぞうきんを投げつけるような怖い男で、かつ包容力があるオヤジさんと呼べる先輩がどれだけいるだろう。秋吉さん同様、我々も立たなければイカンのだ。ダチどもよ、コイツはしんどいことだが踏ん張らなければなあ。

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4件のコメント

  1. ありがとうございます(^_^ゞ
    やってみます。
    息子なら蹴っ飛ばすんですが、流石に娘は…
    連絡一つ入れれば済むはずなんだが、なめられたもんです昭和の親父も(^^;

    • どんなに大きくなっても子供の悩みは尽きぬものですな。でもお互い昭和の父ちゃんで突き進みましょう。

  2. 難しいよね。
    昨日は話さなかったが、日曜日に娘2人が19時に帰ると出かけたらしいんだが、その予定で鍋をかみさんとお母さんが仕上げてるにも関わらず、19時半になっても連絡が無くメールしたらまだ信濃町の駅だと。
    激怒した父ちゃんは1月に2人揃って出てって下さいとメールしましたとさ(*_*)
    感情が先に立って怒る事が多くて、叱り諭すって難しいよな。
    どうやって仲直りしよ( ´△`)

    • ありゃりゃ。コイツは難しいですなあ。でも昭和の父ちゃんっぷりはあっぱれです。後は「言い過ぎた」のひと言で仲直りして、そのうえで諭したらいいんじゃないでしょうか。と、自分とこのバカ息子っぷりを棚に上げて偉そうに書いちゃいました。失礼!!

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