2020年に向けて開催された「第2回 バイク・ラブ・フォーラム」。

写真 3経済の発展を大きな課題として取り組んでいる安倍首相の旗ふりによって、経済産業省が成長の見込める業界をピックアップして、それぞれの成長戦略を取りまとめている。一時話題になったクールジャパン戦略なんてのも、この動きの一環である。そして日本のお家芸であるバイク産業にも白羽の矢が立った。うちの会社ではバイク雑誌を多く発行していて、国家がバイク産業をバックアップしてくれるというのはありがたい話であり、この動きには去年より注目してきた。経産省の担当者と何度もの議論を交わし、その動きをライダーたちに伝えようと取材を繰り返しては記事にしている。このブログでも、皆さんにご理解いただきたくて訴え続けている。

経産省はまず取っ掛かりに、2020年までとの期限付きで目標を掲げた。現在ジャパンブランドのバイクは世界でシェア40%を超える。これを50%、2台に1台は日本製を達成させるというすばらしいものだ。そしてもう1つ注目なのは、国内で去年46万台だった年間販売台数を100万台にするというのだ。具体的で刺激的な数字がうれしい。とくに後者は、現在7誌のバイク雑誌を作っている我が社としては大変ありがたいものだ。これに向かって具体的な施策となる『二輪車産業政策ロードマップ』をまとめて5月に発表された。今回の『第2回  バイク・ラブ・フォーラム』でもこの施策についての詳しい説明があった。

国内販売100万台を達成するのは並大抵のことじゃない。バイクそのものの魅力や遊び方の提案などは、メーカーや我々のようなバイクコンテンツを扱っているところのこれまで以上の努力が必要だろう。微力ながら全力で取り組む所存だ。だが1つ、あまりにも大きな障害となっている規制がある。それが免許制度である。現在の日本の免許制度は完全にガルパゴス化していて、グローバルとかけ離れた制度で固まったままだ。原付免許の50ccがまさしくそれで、俺たちが高校時代に学校をさぼって1日で取れたあの免許で125ccまで乗れるのがほぼ世界標準であり、四輪付帯でも同じく125ccまで乗れる。だから世界的に50ccのバイクなんかマーケットがなく、現在国内で販売されている原チャリはべらぼうに高い。世界戦略車は125ccが多くを占め、もうすぐ発売になる大島優子さんがCMに登場して、第3の移動体とのキャッチコピーの『YAMAHA TORICITY』は世界戦略車であり、当然ながら125ccである。こうした魅力的なマシンに原付免許で乗れるとなれば、マーケットはおおいに活性化するはずだ。世界でもっとも需要があるクラスだからモデルは多く、国内市場に次々と導入されるだろう。値段がグーンとリーズナブルになることだって、それだけのマーケットサイズがあるクラスなのだから当然のぞめることだ。逆に言えばつまり、日本のユーザーたちは規制によってとんでもない不利益を被っていることになる。

『二輪車産業政策ロードマップ』で、国内マーケット対策として課題は5つあり、免許制度の見直しがその1つに入った。だが、現在では僕が求めている四輪付帯、および現在の原付免許により運転可能な排気量アップまでは言及していない。125cc免許取得の簡素化とまでしか踏み入っていないのだ。この問題は世論形成が難しく、先日三原じゅん子議員にも進言したことであり、改革には政治力が必要だろう。さてさて、どう責めていけばいいだろうか。道の険しさを知った『第2回  バイク・ラブ・フォーラム』の取材になってしまった。

それと今回は他業種からの提言としてワンコーナーあり、現在のバイク業界の取り組み方がいかに古臭いかとの劇薬が盛られた。これは賛否が別れたところだが、この話を受けてか経産省の課長による総括では、バイク雑誌は今後はないのではないかとの言葉が出た。さてさて、同じくどう責めてやろうか。こちらに関しては当然、燃えたぎっている僕だ。

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