人生を積み上げていくと、こんなことがあるんだなあ!?

写真出張の夜にちょっくら一杯と大阪ミナミの街をふらついていると、そば居酒屋の文字を見つけた。大阪といえばうどんなのに、この一等地でいい根性してやがると入ってみた。こじゃれた雰囲気にやや閉口しながらも、2軒目で軽く一杯だからいいやとカウンターに座った。目の前の店員さんがおしぼりを出しながら「いらっしゃいませ、ご無沙汰してます」と言う。さすが大阪は商人の街だ、ご無沙汰してますとはなかなか深い戦略じゃないかと感心しながら焼酎をオーダーした。焼酎とつまみをゆったりといただいていると、さっきのご無沙汰男が「北村さんですよね」と声をかけてきた。一瞬、何がなんだかわからなくなった。そしてグダグダの頭で考察したところ、きっと以前に出張で来てさんざん酔っぱらって入って名刺交換をしたのではないか? いや、もしかしたら『大阪ミナミ秘密基地』の後に立ち寄ったのかもしれない。いずれにせよ酩酊状態できたのだろうから、まったく酔っぱらいは困るぜとしばし自分を責めた。

そんな穴があったら入りたい気持ちでいると先方が「○○○○でお世話になっていた者です」と名乗ってくれた。印象の強いタイプでなく失礼してしまったのだが「おーっ、久保さんか」となった。以前会社が赤坂にあった頃にさんざん世話になった店の方で、印象が薄いせいだけでなく、大阪の地で出くわしたシチュエーションが記憶を遠ざけたのだ。脳内のシナプスが一瞬にして動き出した気がした。この店の板前だった男で、今も親密にしているヤツがいるからメールを入れた。「大阪で久保さんと呑んでる。人生ってすげえ」と。するとすぐに電話がかかってきて、この奇跡を興奮しながら説明した。

当時は呑みに出かけたこともなく、店でひと言ふた言交わす程度の仲だった。ところがこの再会はものすごく親近感を覚え、長い付き合いだった当時よりよっぽど濃密な会話を楽しんだ。再会という感動が距離をグッと縮めたのだ。それにしてもこの偶然ってどんな確率だろう。まず、たまたまの大阪出張であること。この夜のお相手してくださった方が酔っぱらって、わりと早めに帰ったこと。そして街をブラブラするのが好きな僕は30分以上店構えを見ながらさまよって、やっと決めたこの店に知り合いがいたこと。うーむ、奇跡に近いじゃないか。

当時と変わらずていねいな客さばきでありながら、主として店を切り盛りする日々が彼にたくましさを加えたようだ。店と彼にすっかり惚れ込んでしまった。大阪出張には欠かせない店となるだろう。それにしてもこれだけの奇跡を体験したのだから、今年のサマージャンボは期待ですな。いやいや、そんな話じゃない。動くことがこうした“何か”を生むことを喜んでいる。動きが激しければ激しいほど、こんな感動を連れてくるのだ。これまでもそうして動いてきたからこそ知り合いが蓄積されていて、だから再会があった。てなわけで、今夜も動くぜ(笑)!!

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2件のコメント

  1. 一桁号からの愛読者、もちろん昭和40年男です。

    主にスタバなどのカフェで読むのですが、困ったことがあります。表紙が毎号刺激的なので、他人に見られるのが恥ずかしい。笑 特に今回のマジンガーZやブッチャー。「こいつ、イイ歳してアニをた?」とか思われそうで。制作者は書店で手にとってもらうために、表紙は雑誌の命でしょうから、渾身のチョイスとなる。当然ですよね!読者側が我慢しますwww なるべく他人に表紙を見られないように。

    数号前からマンネリっぽくなり、読み飛ばしも多くなっていましたが、最近は四十新聞など構成に工夫が見られ、ほぼまるごと欽ちゃん特集などかつての読みごたえが戻ってきて嬉しい限りです。

    これからも楽しみにしています。

    • 確かに人前で開くのは厳しいかもしれませんね。カッコいい『昭和40年男』専用ブックカバーを作ったら商売になるかもしれませんね(笑)。
      マンネリとのご指摘はありがとうございます。検証してみます。

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