出版社として歩んだ10年。〜厳しい年月〜

うちの社が出版事業に手を出して10周年を迎えたので、
間にいろいろはさみつつ、これまでのことを振り返りながらつづっている。

『音に生きる』は、いつか復刊を夢見て幕を閉じた。
この3年で得たノウハウを無駄にしないことが、
すさまじい経験を積んだ証になると言い聞かせながら『昭和40年男』に頭を切り替えた。
ずっとあたためてきた企画であることは、このブログの初期に書いたとおりである。
2009年の10月29日をターゲットとして、本格的にタクトを振り始めた。
俺は問屋営業の席で
「10月にテストでぶち込んでみて、イケルとふんだら10周年記念事業と位置づける」
とまで言った。そして今年に入り、なんとか3冊の魂の塊を打ち込むことができた。
ご覧の通り、広告はほとんど入っていない。
扱っていない書店さんもまだまだ多く、事業としては挑戦段階である。
バイク雑誌にも逆風ばかりが吹いていて、決してラクに展開させてはもらえないが
みんなで力を合わせてがんばっている。
『タンデムスタイル』を笑ったヤツらを見返してやる。
『ジパングツーリング』の痛みを忘れるな。
そこから始まった10年は、ホントにいろんなことを経験し
今こうしてみなさんとの接点となった『昭和40年男』をつくるまでに
成長させてもらえた年月だといえる。

出版業界にとっても非常に厳しい10年となった。
わかりきっていたことでもあるが、出版不況に歯止めがかからない。
そして、それは今後ますます大変なものになる。
感覚的にいうとこの10年の変化が、あと3年もかからないうちに押し寄せてくることだろう。
ご周知の通り電子書籍を始めとするデジタルへの移行期、そのまっただ中にいる。
情報そのものがカンタンに売れる時代でなくなったうえに
企業から見た広告物としての雑誌の存在感は薄まるばかりだ。
デジタル技術のもたらす出版社への課題は、日に日に高いハードルになっている。
でもね、本質は江戸時代からなにも変わっていない。
おもしろいものが支持され、そこに人が集まる。
集まったところに商売が生まれ、商売は商売同士を大きくする。
デジタルは出版において驚異ではあるけれど、決してネガティブではない。
だってね、ここまでなんとか続けてきた“出版社として歩んだ10年”などという駄文を
書く機会が得られたのは、まさにデジタルのおかげでしょ。
満足してもらえたかどうかはちょっと別にして、みなさんに近づけたことは確かだと思う。

またこんなものを綴れる日が来たらいいな。
出版社として歩んできた15年。
うーん、その時は50歳かあ。
うーん。

おしまい

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2件のコメント

  1. はじめまして。
    WEBサーフィンしていて、偶然たどり着きました。
    バイク雑誌「タンデムスタイル」創刊号、かれこれ20年以上前でしょうか?
    じいさまが錆だらけの陸王に嬉しそうにまたがり、奥様がこれまた笑顔でサイドカーに乗っている表紙…

    記憶違いだったらゴメンなさい。
    でも、大人の視点のバイク雑誌で大変気になる記事が多かったと記憶しています!
    この視点がバイク乗りにはウケなかった理由なのでしょうか…
    残念です。

    でも、おおかたのバイク雑誌は廃刊になってしまいましたね。
    読者を紙面に載せてようやく発行部数を稼ぐ雑誌が多くなったのは、さてどうなんでしょうか?

    • あのー、おそらく勘違いなさっています。

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