表紙で振り返る2013年。その参。ブッチャー登場。

生まれ故郷が遠くにある方がちょっぴうらやましくなるのは、東京人の無い物ねだりなのだが、とくに東北に故郷がある方はいいなって、いつも『ゆく年くる年』を見ながら思う。雪が降っている年越しになんともいえない風情を感じるのは、雪国の苦労を知らないバカヤローだからなのだが、東北自動車道の渋滞情報もなんとなく乗ってみたくなる気分なのだ。さて、不定期でお届けしている、表紙で振り返る2013年の第3弾をお送りする。

ブッチャー

5月発売は、理知的な前号の『テクノロジー』から一変させ、ブッチャーを表紙に起用したズバリ『俺たちが愛した悪役たち』を特集した。昭和40年男は、多くのヒーローもさることながら魅力あふれる悪役によっていろんなことを学んできた。そこで『愛した』との表現にしたのである。表紙を飾ったブッチャーと肩を並べて、タイガー・ジェット・シンを取り上げて特集のド頭に持ってきた。プロレスの全盛期を知る我々だから、この記事は思ったとおりの好評をいただいた。

そして愛する悪役といったら絶対に外せないハカイダーの登場で、もうこの企画の成功は決まったようなものだった(笑)。さらにプロスト、ブラック魔王&ケンケン、悪役紹介の八名信夫さん、そしてショッカーと、これまたスゴイラインナップで構成したものだ。さすが昭和40年男ってな感じが漂っていて、1つのスタイルがつかんだ気がした号だ。5月発売で、さわやかな風が吹く季節にこの表紙は異様な雰囲気を放っていた。

この号では、タメ年のシンガーで、役者としても今年は『八重の桜』で西郷隆盛を好演した吉川晃司さんのインタビューが実現した。

「人になんといわれようとも俺はドンキホーテでいい」と言い放ったのは、タメ年としてスゴく誇らしく思えた。彼は自分の名前を隠して、東日本震災直後の東北に何度も入っては自分にできることをやり続けた。マスコミに語ることなく、ただ黙々と活動するという彼の姿勢には、そのまっすぐな瞳どおりの人だと、なんともうれしくてたまらなかった。

彼と話をしていてつくづく思ったのは、顔に人生が出る歳になってきたということだ。20代の頃はまだまだ顔が出来上がっていない。30代で少し固まってくるが揺れ動いている。たまたま悪いことにハマってしまうとすぐに転んでしまうような時期だ。40代になっていよいよ固まり始めて、きっと50代でおおよその完成を見るのではないだろうか。そういった意味で、吉川さんがスゴくいい顔に感じたのは、生き方がドンドン自分色になっているからなのだろう。僕もまだまだ人生を語らず、ただまっすぐに生きていきたいものだと、強く感じたインタビューとなった。

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